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時代の要請と理念の調和

プロフィール

自治医科大学附属病院

自治医科大学附属病院

 栃木県下野市は栃木県南部に位置する人口6万人の街である。2006年に河内郡南河内町と下都賀郡国分寺町、下都賀郡石橋町が合併して発足した。自治体としての歴史は浅いが、市内には下野薬師寺跡、下野国分寺跡、下野国分尼寺跡など、多くの史跡が残されている。特に下野薬師寺跡には道鏡の墓と伝えられる道鏡塚が現存し、国指定史跡に選ばれている。
 自治医科大学附属病院は下野市を縦断するJR東北本線(宇都宮線)の自治医大駅から徒歩15分の場所にある。栃木県のみならず、茨城県西部、埼玉県北部までの広い医療圏に対し、高度急性期医療を提供している。
 今回は自治医科大学附属病院の佐田尚宏病院長にお話を伺った。


佐田 尚宏 院長

佐田 尚宏 院長 プロフィール

1960年に滋賀県大津市で生まれる。1984年に東京大学を卒業後、東京大学医学部第一外科で研修医となる。1988年に東京大学医学部第一外科で医員となる。1994年に東京大学医学部第一外科で助手となる。1994年にDusseldorf大学医学部消化器科に客員研究員として留学する。1996年にキッコーマン総合病院に外科部長として着任する。2000年に自治医科大学に消化器・一般外科講師として着任する。2003年に自治医科大学消化器・一般外科助教授に就任する。2007年に自治医科大学鏡視下手術部、消化器・一般外科教授に就任する。2014年に自治医科大学附属病院副病院長に就任する。2015年に自治医科大学消化器・一般外科教授に就任する。2015年に自治医科大学附属病院病院長に就任する。
日本外科学会理事・代議員・指導医・専門医、日本消化器外科学会指導医・専門医、日本消化器病学会評議員・指導医・専門医、日本消化器内視鏡学会専門医、日本内視鏡外科学会評議員・技術認定医、日本肝胆膵外科学会評議員・高度技能指導医、日本膵臓学会監事・評議員・学会誌編集委員長・指導医、日本胆道学会評議員・指導医など。

病院の沿革

武蔵野赤十字病院
1974年
 
 
 
「自治医科大学附属病院」開設許可
病院構造設備使用許可
病院開院
総合病院の名称使用許可
1982年
地域家庭診療センターの開設
1983年
「自治医大駅」開業
1984年
 
核医学センターの開設
3階東病棟の開棟
1985年
 
MRI(常電導)の導入
内科外来使用許可(増築)
1986年
特定承認保険医療機関承認
1987年
腎臓内科、小児外科の診療開始
1989年
 
内科薬物治療科の開設
2階南病棟の開棟
1990年
MRI(超電導)の導入
1991年
救急医療機関告示
1992年
 
救急部病棟の増床
放射線治療用ライナック(2台目)の導入
1993年
X線骨密度測定装置の導入
1994年
 
特定機能病院に承認
病院創立20周年記念祝賀会挙行
1995年
 
エイズ拠点病院に指定
自治医科大学健診センターの開設
1996年
 
総合周産期母子医療センターの開設
災害拠点病院に指定
2000年
総合診療部の開設
2002年
 
 
 
 
附属病院新館竣工
循環器センター開設
救命救急センター指定
遺伝カウンセリング室の開設
心疾患治療部の開設
2003年
 
医療情報部の開設
医療安全対策室の開設
2004年
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
小児外科、移植外科がそれぞれ独立
美容外科の開設
医療安全対策室の体制を強化し、医療安全対策部へ名称変更
感染制御部の開設
卒後臨床研修センターの開設
病棟オーダリングシステムの稼動
とちぎ子ども医療センター開設準備本部の設置
病棟リニューアル工事完了
消化器センターの開設
呼吸器センターの開設
脳神経センターの開設
血管内治療部の開設
無菌治療部の開設
臨床腫瘍部の開設
2005年
 
 
 
腎臓センターの開設
外来オーダリングシステムの稼動
PET-CTの導入
病院機能評価認定Ver4.0
2006年
 
 
 
 
 
 
 
 
 
電子カルテシステムの稼動
臨床腫瘍科の開設
とちぎ子ども医療センター組織の開設
小児心臓血管外科、子どもの心の診療科、小児画像診断部、小児手術・集中治療部を開設し、小児科・小児外科を下部組織に位置付け
とちぎ子ども医療センターオープン
緩和ケア部 腫瘍センター 臨床感染症センターの開設
小児リハビリテーション部(とちぎ子ども医療センター)の設置
緩和ケア科の開設
移植・再生医療センターの開設
2007年
 
 
 
 
 
 
 
 
地域がん診療連携拠点病院に指定
外来治療センターの稼動
生殖医学センター(不妊治療・体外受精センター)の開設
小児泌尿器科(とちぎ子ども医療センター)、小児整形外科(とちぎ子ども医療センター)、小児脳神経外科(とちぎ子ども医療センター)の開設
緩和ケア病棟の開棟
治験拠点医療機関に指定
鏡視下手術部の開設
女性医師支援センターの開設
2008年
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
脳卒中センターの開設
成人先天性心疾患センターの設置
地域医療連携部の開設
下部組織に病診連携室、看護支援室、総合相談室を開設
病院事務部医療福祉相談室を廃止し、地域医療連携部に一本化
臨床試験センターの開設
臨床薬理センター治験推進室を廃止し、臨床試験センターへ一本化
臨床薬理センターに臨床研究教育・支援室を開設
小児心臓血管外科を小児・先天性心臓血管外科へ名称変更
光学医療センターを開設し、内視鏡部を下部組織に位置付け
臨床腫瘍センターの下部組織に精神腫瘍部を開設
2009年
 
糖尿病センターの開設
周産期教育支援部の設置
2010年
 
看護職キャリア支援センターの開設
病院機能評価Ver.6.0認定(更新)
2011年
 
総合周産期母子医療センターに院内助産所を設置
臨床栄養部の開設
2012年
 
 
中央材料室の設置、がん相談支援室の設置
血管内治療センターの開設
乳腺・総合外科を乳腺科に名称変更
2013年
 
 
 
 
 
 
企画経営部の設置
企画経営部の下部組織として、企画経営室を設置し、医療情報部を企画経営部の下部組織に位置付け
外来透析センター開設
臨床試験センターを臨床研究支援センターとして大学の教育研究施設に改組み
とちぎ臨床試験推進部を設置
企画経営部医療情報部の下部組織に看護情報管理室を設置
総合診療部を総合診療内科へ名称変更
2014年
 
 
 
 
 
 
 
救急科の開設
病理診断科の開設
小児耳鼻咽喉科の開設
地域医療連携部を地域医療連携・患者支援部へ名称変更
地域医療連携・患者支援部の下部組織として入退院支援室、ボランティア支援室を設置
入院診療運営部、外来診療運営部、中央施設診療運営部を設置
手術支援ロボット da Vinci Siによる手術を開始
重症心不全治療部の開設
2015年
 
 
 
 
 
小児形成外科(とちぎ子ども医療センター)の開設
小児移植外科(とちぎ子ども医療センター)の開設
小児歯科口腔外科(とちぎ子ども医療センター)の開設
リウマチセンターの開設
透析部を透析センターへ名称変更
病院機能評価 3rdG:Ver1.1 一般病院2 認定(更新)
2016年
 
 
てんかんセンターの開設
臨床研究センターの開設
地域医療連携・患者支援部を患者サポートセンターへ名称変更
2017年
 
 
緩和ケアセンターの開設
内科総合の開設
医療安全対策部を医療の質向上・安全推進センターへ名称変更
2018年
 
 
 
新館南棟竣工
歯科口腔外科を歯科口腔外科・矯正歯科へ名称変更
腫瘍センターにがんゲノム医療部を設置
高度治療部(HCU)の開棟
2019年
 
 
 
がん相談支援室をがん相談支援センターへ名称変更
放射線管理センターの開設
医療の質向上・安全推進センターに医薬品・医療機器安全管理部門を設置
メディカルサポートセンターの開設

 自治医科大学附属病院の歴史は比較的浅く、1974年の開院である。

  「現在は下野市ですが、当時は下都賀郡南河内町に作られた大学の附属病院です。以前は栃木県立畜産場の跡地で、明治時代には国立種馬所があった場所だそうです。1983年に自治医大駅が開業するまでは小金井駅や石橋駅からバスというアクセスでした。そのうち、栃木県が学園緑住都市を作ろうということで、日本住宅公団(現 都市再生機構)がグリーンタウンしもつけを開発し、新しい街ができていきました。今は人口もさらに増え、人気のあるエリアになっています。下野市内の薬師寺にある祇園小学校は優秀な子どもが多いんですよ(笑)。」

 2002年には新館が竣工され、2006年にとちぎ子ども医療センターが開設された。

 「私が2000年に当院に着任して、2002年に新館が完成しました。そして本館の改修に踏み切りました。本館は築45年でしたが、とても綺麗な状態を維持していたと思います。とちぎ子ども医療センターは栃木県の政策のもとで開設されました。県立の病院がない県ですので、獨協医科大学と自治医科大学に小児医療を行える施設を作ることもなったのです。当院の子ども医療センターは135床、獨協医科大学病院は約40床あります。栃木県からも支援いただき、整形外科、心臓血管外科、脳神経外科といった外科系の診療にも力を入れています。」

 高まる医療需要を背景に、2018年には新館の南棟を開設した。

 「2000年代に手術件数が伸びていったのが南棟建設の理由です。2004年に臨床研修必修化により少し変化はありましたが、患者さんの数は増え続け、18室ある手術室はリミットを迎えていました。そこで高度急性期医療を充実させるべく、手術室を6室、ICUを6床増床したのです。また、救命救急センターも南棟へ移転しました。」

2019.12.01 掲載 (C)LinkStaff

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