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愛の心を高め、『愛の病院』を実践

運営・経営方針

1.運営・経営方針

 泉院長に運営や経営方針について、伺った。

 「高度救命救急の急性期病院をピュアにやっていこうとしています。高度医療は当然のこととして、がん治療、ゲノム医療に加え、救急車も積極的に取るようにしています。この2年続けて、年間10000台の救急車をとっており、1日平均30台、夏は40台ぐらいになりますから、1時間に1台以上は来ていますね。救急を一生懸命するということは各診療科が力を出し合うことが重要です。垣根を取り払って、皆で診ましょうと言っています。一方で、救急車を積極的に取るとベッドが一杯になるので、当院での救急医療を終えたら転院していただかないといけません。そこで力を入れているのが連携センターによる転院調整です。2病棟に1人のMSWか看護師を配置して、入院の翌日か翌々日から転院調整を始めます。このところ、こうしたノウハウが積み上がってきて、周囲の病院との連携が非常に良くなってきました。お互いの得意なところを分担できています。」

 連携センターの情報量が豊富であることが経営的にもプラスになっている。

 「私はお金を儲けろなどは一切言いません。地域に必要な医療、信頼される医療、そして高度医療をしっかりしましょうとだけ言っています。経営のトップが金儲けしろと言うと、職員の心が乱れます。縁の下の力持ちみたいな人たち皆で仲良くいい医療をしていこうというのが私の経営方針です。」

  武蔵野赤十字病院は働き方改革にも10年前から取り組んでいる。

 「当院は当直も勤務ということにしています。夜の勤務を時間外勤務にしてしまうと、月に150時間もの時間外勤務になるので、長時間労働になります。そこで夜の勤務を全てシフトにしました。当直だと夕方に出勤してきて、朝の8時まで働いたら帰るということにしました。そうすると長時間労働がなくなり、土日の休みや振替休日を好きなように取れるようになりました。」

 働き方改革の一環で、チーム制も導入した。

 「チーム制とは複数主治医制のことです。こうするとオフの時間ができます。ずっと病院にいたり、自分の患者さんの具合が悪くなるといつ呼ばれるか分からないという状態は今の若い医師には無理です。若い医師にいやいやながら働かれるのは嫌なものですし、若い医師に支持されるのは心強いです。医師として楽しい仕事をしてもらうためにも、オンオフのメリハリがある勤務をうまく組んでいきたいものです。」
 

2.地域連携

 武蔵野赤十字病院では地域連携の取り組みとして、講演会を開催している。

 「がん診療連携拠点病院になってからは、がんについての講演会を病院外の会議室などを借りて行っています。講演者は当院の若い医師です。当院で得意な医療などを紹介させていただいているのですが、1回につき50人ほどの先生方がお見えになります。前方連携については情報を届ける冊子を作っていますし、広報にも力を入れているのですが、そうした冊子などを読んでいただける時間はなかなかないようです。それだけに講演会の存在は大きいですね。一方で、後方連携については後方病院と信頼関係をしっかり作ることを心がけています。この地域は急性期病院は多いのですが、回復期や療養型をしている病院は少ないのです。そこで当院としては、当院から転院した方が転院先で具合が悪くなったら、必ず当院で引き受け、信頼していただけるようにしています。地域包括ケア病棟などを持っている病院では在宅復帰率が70%というのが目標です。当院としてはそういった相手のニーズに合わせた転院調整を行っています。」
 

3.今後の展開

 現在、手術室が9室あるのですが、ダ・ヴィンチを入れたり、新しい医療をしていると集中治療室ともども足りなくなりました。それで新棟を建築中です。 当院はいい文化が育ってきて、皆で教え合う体制ができています。救急外来でも1台の救急車が来たら、何人かで行って、ああでもないこうでもないとお互いに教えたりしていますよ。私は救急外来は体育会系だと思っています。ラグビーのような役割分担をしないと、一人だったら寂しいし、心細くなると思います。常に人がいる状況にするために、多いときは20人、少なくとも16人の医師が当直しています。医学部の学生が見学に来たときにもそうした指導体制を気に入ってくれるようで、それがマッチングの結果に繋がっているようです。
 人口動態調査によりますと、武蔵野市、小金井市、西東京市を含むこの地域は2040年ぐらいまで人口が増える見込みです。それも高齢者だけではなく、全ての年齢層で増えるとされています。日本全体からすれば特異な地域ですから、ほかの地域でしていないことをしなければいけません。そのために高度急性期医療に取り組んでいます。現在は586病床で、医師が245人ですから、3病床に1人の医師がいることになります。それでも経営が成り立っていますから、人件費削減は考えていません。力のある指導者、やる気のある若手がぎゅっと集まっていますので、皆で働いていきたいです。

2019.10.01 掲載 (C)LinkStaff

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