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患者さんと病院の相互信頼を

運営・経営方針

1.運営・経営方針

 香川井下病院では一般事業主行動計画として、女性職員増員に取り組んでいる。

 「目標としていた放射線科に2人の女性を入れることは達成しました。当院には院内保育所があり、長期休みの時期には学童保育もしています。院内保育所は父の代からしています。そうした雇用環境を整備し、人それぞれの事情に応じて働ける勤務体制を作っています。医師への環境整備としては個室があります。当直のときには当直室を使っても、個室を使っても構いません。プライバシーを保てると好評です。学会への参加も病院が支援しています。今後、病院の正面に保育所と幼稚園をミックスしたものが建ちます。この幼稚園の学校医に当院の北迫愛医師が就任します。」

 地方は少子高齢化や人口減少など、厳しい時代を迎えている中で、井下理事長に運営や経営方針について、伺った。

 「この地域は高齢者が非常に多く、高齢者もピークを過ぎたら徐々に減っていきますので、確かに厳しい時代です。今まではコンビニエンスホスピタルと言って、コンビニエンスストアに買い物に行くぐらいの気軽さで受診してもらい、高度先進医療や専門医療は三豊総合病院に送っていましたが、それも厳しくなります。そこで当院では選択と集中を進めています。病院全体で黒字であれば赤字部門も間口を広くすることで維持できたのですが、科によって、かなりのばらつきがあり、耳鼻咽喉科や外科系、歯科の縮小を行いました。安倍政権になって、大学の研究費助成などに選択と集中という言葉がよく聞かれるようになりました。これで基礎的な研究が疎かになり、日本の力が落ちるだろうと言われています。しかし、当院にはそこまでの体力がありませんので、経営方針もイケイケドンドンでは難しく、選択と集中が必要です。コンビニエンスストアも夜間は閉めようという時代ですし、右肩下がりになっているので、専門特化するか、総合的に診られるプライマリケアの医師を増やすかですが、どちらも増やしていく方針でやっていきます。」

 職員の働きやすさについても伺ってみた。

 「ワーク・ライフ・バランスについては以前から取り組んでいます。その人に応じた働き方を進め、アニバーサリー休暇なども整備しています。非常勤でも常勤と同じように個人の希望を聞き、勤務体系を構築しています。先代の看護部長の岩田輝子さんがこれに誠意を持って取り組み、看護協会からカンゴサウルス賞をもらったり、春の叙勲で瑞宝単光章をもらったりしました。ワーク・ライフ・バランスについては読売新聞が全国で2病院だけ取り上げたのですが、その一つに当院が選ばれ、大きく紹介されたこともあります。働く女性に大事なのは子育て支援ですが、これも観音寺・三豊医療圏の中で当院がトップです。父に先見の明があり、公立の病院に保育所がない時代から当院にはありました。障害者雇用にも積極的で、障害者雇用率の高さは行政からも評価され、香川県から何度も表彰を受けています。」
 

2.地域連携

 井下理事長にどのような地域連携を行っているかについて、伺った。

 「地域連携室に3人のスタッフがいます。近隣の病診連携はあまり稼働しておらず、三豊総合病院との病病連携の方が多いです。当院から三豊総合病院に夜間にお願いしたり、三豊総合病院から当院に慢性化して重症化した患者さんが紹介されてきたりといった連携ですね。香川大学医学部附属病院、丸亀市の香川労災病院、善通寺市の四国こどもとおとなの医療センターは異常分娩や分娩後の心停止といったときにお世話になっています。神経内科では高松医療センターとも連携していますし、当院の循環器科での心臓カテーテル検査で難しいと思われた症例は岡山市の心臓病センター榊原病院に送ることもあります。当院の特徴の一つに医療療養病床が100床あることが挙げられます。医療が必要で、長期の寝たきりだったり、人工呼吸器をつけている方の受け入れは多いです。また、介護保険制度より前、父の代から訪問看護や訪問診療も行っています。患者さんの送迎に関しても、全国の病院に先駆けて始めました。さらに、このほど新しい用地を買収し、市に寄付して、市道の認定を受けました。これで観音寺市、三豊市のコミュニティバスが病院に乗り入れできるようになったんです。これまではバス停から歩かなくてはいけなかったのですが、構内乗り入れになったので、利便性が大きく向上しました。」

 香川井下病院はへき地医療拠点病院でもある。

 「伊吹島という離島があり、船で40分から50分かかるのですが、ここの診療所に毎週、三豊総合病院と松井病院とで割り当てた医師を送っています。保健福祉を統合した地域医療に貢献するというのは当院の院是の一つでもあるので、これに則り、介護や福祉などの施設の嘱託医として、当院の常勤医師を派遣することもあります。そうした施設の方で悪くなられたら、当院に入院することも多いです。嘱託医が患者さんの状態を把握できていることが大きいですね。地域との関わりとしては学校医のほか、産業医もあります。当院にも3人いますが、主に私が行っています。産業医をすることで健診もありますし、かなりの数の企業と連携しています。」

 地域連携として、勉強会なども開催している。

 「院内ピアノコンサートのほか、患者さんの勉強会をしています。循環器の松村医師が定期的に開催し、病気や今の医療について説明しています。」
 

3.今後の展開

 今後は産婦人科と小児科をさらに充実させること、そして総合内科医と専門医をバランス良く確保することです。今のメインの循環器と神経内科をさらに発展させたいですし、血液透析、消化器、呼吸器も伸ばしたいです。今は糖尿病の常勤医がいないので、こちらも確保できたら、非常に良くなると思います。

2019.09.01 掲載 (C)LinkStaff

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