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すべては患者さんのために
南東北グループ 医療法人社団 三成会 新百合ヶ丘総合病院

プロフィール

南東北グループ 医療法人社団 三成会 新百合ヶ丘総合病院

南東北グループ 医療法人社団 三成会 新百合ヶ丘総合病院

 川崎市麻生区は1982年7月に多摩区から分かれた、川崎市では最も新しい区である。1960年代に日本住宅公団(現 都市再生機構)による団地建設が始まり、住宅地の整備が進んだため、東京のベッドタウンとして発展を続けてきた。区の中心は小田急小田原線、多摩線の新百合ヶ丘駅で、駅周辺は川崎市の北部副都心として公共施設や様々な商業施設が充実しており、1998年度には建設省(現 国土交通省)の都市景観100選を受賞している。
 川崎市北部は病床が不足しており、川崎市では産婦人科、小児科を含む地域医療の充実と救急医療体制づくりに寄与することなどを目的とした病院設立の公募を行った。そこで選定されたのが南東北グループの一つである医療法人社団三成会であり、2012年8月に新百合ヶ丘総合病院が開設された。「すべては患者さんのために」という南東北グループの理念のもとに、最新の医療機器を揃え、スタートした。麻生区古沢の4万ヘクタールを超える敷地に30診療科目、377床を完備し、住民の期待に応えている。
 今回は南東北グループ総長で、医療法人社団三成会の渡邉一夫理事長にお話を伺った。


渡邉 一夫 理事長

渡邉 一夫 理事長プロフィール

1944年に福島県須賀川市で生まれる。1971年に福島県立医科大学を卒業する。1973年に秋田大学で文部教官を務める。1971年に高知市の長尾病院に外科部長として着任する。1981年に南東北脳神経外科病院に院長として着任する。1984年に財団法人脳神経疾患研究所理事長、脳神経疾患研究所東北病院院長に就任する。1991年に北京大学客員主任教授に就任する。2004年に福島県立医科大学臨床教授、藤田保健衛生大学臨床教授に就任する。

日本脳神経外科学会専門医、秋田大学医学部非常勤講師、上海浦南病院客員教授、日本臨床医療福祉学会理事長、特定非営利活動法人日本コーディネート開発機構理事長、日本脳ドック学会理事長、日本脳神経財団理事、第17回脳ドック学会長、日本脳神経外科学会保険委員会顧問、特別会員、医療問題検討委員会顧問、脳卒中学会評議員、日本脳神経外科救急学会理事、東北老年医学シンポジウム世話人、国際Mt.BANDAI神経科学シンポジウム事務局長、環太平洋脳神経外科学会事務局長、米国脳神経外科学会員、関東脳神経外科懇話会顧問など。


病院の沿革

 南東北グループは2006年に東京、丸の内に東京クリニックを開設したが、手術や長期の治療にあたっては福島県郡山市の総合南東北病院に患者さんを送っていた。

 「東京クリニックは日本の中心である一等地に開業し、全国の患者さんの羅針盤やアンテナ的存在です。しかしながら東京近郊に病院を持っていれば、患者さんに福島まで行っていただくことがなくなるのにと考えていました。そこで東京近郊に150床以上の病院を建てたかったのですが、土地がなかなか見つからなかったのです。」

 民間の病院から空き病床を利用する形で病院を新設しないかという話を持ちかけられたこともあったが、立地が良くなかったこともあり、渡邉理事長が迷っていたところ、川崎市が377床の病院新設の公募を始めた。これに全国から約20病院が手を挙げたが、選ばれたのは渡邉理事長が率いる医療法人社団三成会だった。

 「99%無理だろうと思っていたのですが、選ばれてしまいました(笑)。選ばれた理由を考えてみますと、私どもが急性期、脳疾患、心臓疾患、がん診療、救急医療に強みがあるからではないでしょうか。377床を全て急性期とし、川崎市からの要請であった産婦人科と小児科に力を入れることを全面に出しました。」」

 公募にあたって、各病院は土地探しから始めなくてはいけなかったが、三成会が用意した土地は新百合ヶ丘駅からほど近い高台であり、この場所を確保できたことも選定の理由であろう。」

 「予定地は山林や畑が広がっていた場所でした。最初に見に行ったときには蚊に食われましたよ(笑)。もともと調整区域でしたが、地元の地権者の方々が病院建設ということで協力してくださいました。」」

 川崎市は1976年、全国に先駆けて「川崎市環境影響評価に関する条例」を制定し、環境アセスメントを開始したことで知られており、現在も非常に厳しいアセスメントを行っている。新百合ヶ丘総合病院もアセスメントに1年かかり、さらに遺跡が発掘されたことで半年を要した。一方で、川崎市医療審議会、川崎市の承認を経て、ようやく開設の運びとなった。」

 「リーマンショックに見舞われたことが一番の苦労でしたね。日本の銀行は一時、融資を引き揚げたのです。しかし、これまでの南東北グループの実績もありましたし、あとは私の執念ですね(笑)。日本の一流の銀行のほか、福祉医療機構や商工中金といった政府系の金融機関からの融資を受けて、資金を準備したのです。逆に、医師を集めるにあたっては苦労はありませんでした。私は首都圏の大学に知り合いが多く、大学時代から50年近くお付き合いをしてきたのです。人付き合いは肥やしのようなもので、そういう肥やしが苗を育てていくんですね。」

 厳しい環境アセスメントの結果、建物は20メートルという高さ制限を受け、地下2階、地上6階建てとなった。」

 「私としては高い建物にしたかったので残念でしたね。しかし、川崎市からは補助金などもなく、土地の購入には資金を費やしました。」

 新百合ヶ丘総合病院は医療設備を充実させている。手術用ロボットであるダ・ヴィンチも購入し、PET-CTも2台を完備した。神奈川県にはPET-CTが2台以上ある医療施設は横浜市のゆうあいクリニックと新百合ヶ丘総合病院しかない。また、超音波集束治療装置も導入した。これはイスラエル製の医療機器で、世界に5台しかなく、日本で導入しているのは新百合ヶ丘病院だけである。

 「総合南東北病院にある陽子線治療施設をこちらでも新設したいと考え、スペースだけは確保しています。私は日本一ではなく、世界一の設備、医師が揃った病院にしていきたいのです。本来なら、今の日本では377床の病院を建てることはベッド数減少の政策や医師不足、看護師不足もあって無理なのですが、私どもでは実現させました。これからも私どもの南東北グループが得意とする高度な先進医療や予防医学を実践し、脳や循環器救急、がん治療に貢献するという社会的使命を果たし、急性期病院のモデルとなりうるよう、前進を続けていきます。」

2013.01.01掲載 (C)LinkStaff

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