医師の仕事・働き方・キャリアプランについて

知らないではすまされない!医師法とは

医療に従事している人が必ず守らなければならない法律、それが医師法です。医師法では、医療従事者の国家資格や義務・権利について定められています。医師を目指している人には必須の知識ですので、しっかりと学んでおきましょう。

医師法で取り締まるものは?

医師法で取り締まるものは?

医師法では、主に医師免許・国家試験・臨床研修・医療業務について規定されています。代表的な診療義務では、19条1項「診療に従事する医師は、診察治療の求めがあった場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない」 とする応召義務があります。ここでいう「正当な事由」の有無に関しては、患者の容態や病気の種類、診療を求められた時間など健全な常識と社会通念に照らして医師が判断します。気が進まない、近場への外出中、軽度の疲労といった理由では正当な事由には該当しません。また、天候の不良や医療報酬の不払い、急を要する患者の場合などでは診療時間外であっても診察を拒むことはできません。とはいえ、応召義務違反であっても処罰の対象とはなりません。この義務は国に対して負う公法上の義務であり、現行の医師法では罰則が設けられていないからです。この他には、交付の求めがあった場合に出生証明書や死亡診断書などの交付を拒んではならない「診断書等の交付義務(19条2項)」、薬剤投与の際に必要な「処方箋の交付義務(22条)」、医師の患者に対する説明義務の根拠となる「保健指導を行う義務(23条)」、5年間の診察記録保存を義務づける「診療録の作成義務と保存義務(24条)」などが挙げられます。
医師法で定める医師の権利では、17条「医師でなければ,医業をなしてはならない」とする医業を営むことができる医業独占と、18条「医師でなければ,医師又はこれに紛らわしい名称を用いてはならない」の医師名称の独占があります。

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違反するとどうなる?

違反するとどうなる?

医師法では、次のように罰則規定を定めています。
第一に、医師ではないのに医業をした者、あるいは不正に医師免許を受けた者は3年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、これらの者が医師またはこれに類似する名前を用いた場合は3年以下の懲役、または200万円以下の罰金に処されます(31条)。第二に、医師の試験に関して内容を漏らしたり、故意に不正な採点をした者は1年以下の懲役または50万円以下の罰金(33条の2・1項)。第三に、自ら診察を行わずに処方箋や出生証明書などを交付することを禁じた「無診療治療の禁止」違反には、50万円以下の罰金(33条の3・1項)。第四・第五・第六に、死体や妊娠4カ月以上の死産を検案して異常が認められた場合、24時間以内に所轄の警察署に届け出なければならない「異常死体の届出義務」違反と「処方箋の交付義務」「診療録の記載および保存」を怠れば50万円以下の罰金です(33条の2・1項)。第七に、処分を受けた医師が再教育研修を受けなかった場合は50万円以下の罰金(33条の2・2項)。最後に、処分の際に必要な報告をしない・物件を提出しない・検査を拒む、あるいは虚偽の陳述をするといった調査の妨害があった場合も50万円以下の罰金に処されます(33条の2・3項)医師法で留意すべきは、医師以外の者が医業をすることを禁じているため、一般人であっても違反すれば取り締まりの対象となる点です。

医師法とは正当な業務のためのバイブル

医師法とは正当な業務のためのバイブル

医療法とは、医師の職業倫理の指針となりえるものです。各条項の規制は、患者や社会への責務、医療の安全確保、そして医師の権利に対して正当な評価がなされるように定められたものです。患者の生命や健康を担う医師は、その業務について厳しく問われる立場であり、自ら行う医療に責任を持たねばなりません。医師法に基づいて適切かつ良質な医療を提供し、患者との信頼関係を築いていくことが重要なのです。

2022.6.22 掲載
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