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医療ITの可能性と課題

高齢化社会に合わせて、政府は地域医療連携システムの構築を急いでいます。それに合わせて医療ITの重要性も増してきました。2018年現在使われている医療ITにはどのような種類があり、今後はどのような発展が期待されているのでしょうか。

そもそも医療ITとはどのようなもの?

そもそも医療ITとはどのようなもの?

医療ITでもっとも代表的なものが電子カルテです。2000年代はじめに政府主導で普及を推し進められたものです。これまで紙に手書きで書いていた患者ごとのカルテ情報を、電子情報として管理する仕組みになります。電子カルテと同時期に普及が進められた医療ITに、オーダリングシステムがあります。これまで医師が紙に書いていた検査内容や処方箋をコンピュータにに入力すると、関連する分野の業務も自動で連動するシステムです。これによって医師が診察した内容をパソコンに入力した時点で、処方する薬を準備することや会計を済ますことができるようになります。電子カルテやオーダリングシステムの導入によって、大病院での医療事務はおおいに簡易化され迅速になったといえるでしょう。
病院での待ち時間の長さはこれまで大きな課題でした。それが医療ITの本格導入によって変わるかもしれません。自動往診受付管理システムを使えば、スマホやパソコンから診察を予約することができるようになります。このシステムを使えば、診察の順番が近づくとお知らせメールが届いたり、待ち時間がリアルタイムで確認できたりするので、病院の待合室で待つ時間を大幅に減らすことができます。

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電子カルテのメリットと課題

電子カルテの導入には多くのメリットがあります。紙のカルテとは違い電子カルテには検索機能があるので、必要な患者情報をすぐに取り出すことが可能です。また紙のカルテのように場所もとらないので、これまで紙のカルテ収納に使っていた広大なスペースを別の用途に利用することもできます。紛失の心配がないことや、情報管理がしやすいことも大きな利点でしょう。他にもレセプトやカルテ作成時のミスを防ぐチェック機能によって、事前にミスを防いでくれる点も、紙にはないメリットです。
一方でデメリットも存在します。一番の問題は停電時の対応でしょう。一般的に病院では非常用電源が確保されていることがほとんどですが、人工呼吸器などより優先順位の高いものに電気が回され、パソコンまでは電気が確保されていないケースもあります。金銭面のコストも大きな問題です。導入には数百万円から数千万円ほど必要になるだけでなく、システムの利用料やアップデート、定期点検などのランニングコストも必要になります。また不正アクセスによる情報漏洩の危険性もあり、セキュリティ管理にもコストがかかります。

ITを活用した医療がもたらすもの

医療ITが発展することによって、患者にとっても病院で働く医師や看護師にとっても、利便性が高くなることは間違いありません。医療ITの発展が目指す先は地域医療連携システムの構築と、同システムへの貢献にあるといえます。地域医療連携システムの目的を簡単に要約すると、高齢者が住み慣れた地域で最後まで暮らしていけるような仕組み作り、ということができるでしょう。医療の観点から見た場合、普段は長年診てもらっているかかりつけ医に診てもらい、重大な病気が発見された場合速やかにその地域の専門病院で治療を受けられる、そのような仕組みになります。
地域医療連携の実現には医療ITの活用が不可欠といわれています。とりわけ重要になってくるのが、地域での患者情報の共有です。患者ごとに入力された診療方針や検査情報などを、かかりつけ医や地域の病院、介護施設などで共有することで、患者の現在の状態に応じて必要な処置を必要な機関が行うことを可能にするものです。システムが一般化するためには医療クラウドの普及や、個人情報の取り扱いなどクリアしなければならない問題がたくさんありますが、普及することによってより暮らしやすい社会が実現することは間違いなさそうです。

2022.6.20 掲載
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