医師の仕事・働き方・キャリアプランについて

産業医に適正な性格とは?年収はどれくらいになるの?

産業医という職は病院で働く一般の医師に比べるとあまり有名な存在ではありません。そのため、就職先として興味はあるけれど、どのようにすればなれるのかがよくわからないといったことが意外に多いのではないでしょうか。そこで、産業医になるための資格や資質についての解説をしていきます。

産業医に求められること

産業医に求められること

産業医になるには医師免許を取得していることはもちろんですが、その他にも、労働安全衛生法第13条の第2項に基づいて「労働者の健康管理等を行うのに必要な医学に関する知識を有する医師」でなければならないとされています。具体的には、労働安全衛生規則第14条第2項に定められている「厚生労働大臣が指定する研修を修了した者」「産業医養成を目的とした正規の医学課程において大学が定める実習を終了した者」「労働衛生コンサルタント試験に保健衛生の区分で合格した者」「学校教育法による大学において労働衛生に関する科目を担当する教授、准教授又は講師の経験者」のいずれかの条件を満たす必要があるのです。
これらの内、最も早く条件を満たす方法が、日本医師会が実施する産業医学基礎研修会か産業医学大学や自治医科大などが行っている産業医学基本講座を受講することです。そこで50単位を取得し、最終受講日から5年以内に各都道府県の自治体へ申請を行えば産業医になる資格を得たことになります。特に、短期集中カリキュラムを行っているところを選んで受講すれば、1週間程度で50単位の取得が可能です。ただ、短期集中講座は連日朝から夜まで講義が行われるので、すでに勤務医として働いている人には受講が難しいというデメリットがあります。
必要な資格は以上ですが、実際に産業医になった場合には怪我や病気に対する対処だけでなく、メンタルヘルスの対策も求められることになります。したがって、一般医が産業医になった場合には精神科医と相談できる関係性の構築が大切です。また、企業と労働者が解雇、労災問題などで対立し、医学的な意見を求められた時はどちらかに肩入れすることなく、中立な立場を維持できる公平性も産業医になるには欠かせない要素だといえるでしょう。

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こんな人が産業医に向いている

まず、コミュニケーション能力が高い人は産業医に向いています。企業に雇われている産業医とはいえ、普段従業員と話す機会はそれほど多くなく、コミュニケーション能力が低いといざという時に必要なやりとりができない恐れがあるからです。たとえば、慢性的に体調不良の従業員に対して「しばらく仕事を休まれては?」とアドバイスをしても家族を抱えている場合は「大丈夫です」と答える人が多いでしょう。それを上手く説得するにはコミュニケーション能力が不可欠です。
また、自分の会社に産業医がいても無愛想では相談に行きにくいものです。逆に、愛想がよくて悩みを相談しやすい人柄であれば、それだけ産業医に適していることになります。さらに、産業医としての能力を高めていくには単に医学に関するスキルだけでなく、企業の仕組みなどを勉強して職場の実態を知ることも必要になってきます。そのため、好奇心が旺盛で幅広い知識を吸収していくことにやりがいを感じる人は産業医に向いているといえるでしょう。

事業者との連携が必要な産業医

産業医の仕事は一般の医師のそれとは異なり、医師と受診者の二者間で完結するものではありません。必ず、事業者との連携が必要となってきます。たとえば、健康診断の結果、仕事を制限する必要があることがわかったとしてもそれを産業医が労働者に強制することはできないのです。下手をすればその人の仕事を奪ってしまうことになりかねないからです。
しかし、だからといって放置していれば病状が悪化して結局仕事が続けられなくなる可能性があります。こうした事態を減らすには事業者と密に連携を取り、善後策を協議することが不可欠です。そして、その場合にも重要となるのがコミュニケーション能力です。それらを踏まえた上で自分が産業医に向いているかどうかを見極めていきましょう。

2022.6.17 掲載
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