医師の仕事・働き方・キャリアプランについて

精神科医になるのに必要な資格とは

認知症患者の増加やストレス社会がもたらす弊害によって精神科医へのニーズが高まっています。精神科は他の科と比べ緊急性の高い診療が必要となる割合が低く、過重労働になりにくいという特徴があり、他診療科からの医師の転科が多いことで知られています。ここでは精神科医になるための資格について詳しくみていくことにしましょう。

精神科医の仕事内容ややりがい

精神科医とは、うつ病や認知症などの精神疾患を専門的に診察・治療する医師です。精神疾患には、ストレスなどに起因する心因性の疾患と怪我や先天的異常などに起因する器質的疾患があり、精神科医はこの両方について他科や他機関と密接に連携を取りながら診療にあたっています。
厚生労働省はこれまで、地域医療の医療計画に盛り込むべき疾病として「がん」などの4大疾患を指定していましたが、これに精神疾患を加え「5大疾患」とする方針を2011年に発表しました。精神疾患が国をあげて取り組むべき大問題となっているという現状が、この背景にあると考えて良いでしょう。
精神科医が扱う疾患としては、統合失調症などの精神病性障害やうつ病などの気分障害、不安障害やパニック障害などの神経症性障害や発達障害、認知症やてんかんなどがあります。身体の異常だけでなく心理的側面や環境など、多角的視点から総合的に判断することが求められる仕事と言えます。
精神科医になるには大学医学部を卒業後、医師国家試験に合格して医師免許証を取得し、さらに2年間の臨床研修経験を積んだ後、大学病院や一般病院の「精神科」に採用されなくてはなりません。
精神疾患は安定した生活を脅かすだけでなく命にも関わる病です。ところが即効性のある治療薬や治療法があるとは限らないため、長期的な取り組みが求められることも少なくありません。それだけに適切な治療によって症状の改善が見られた暁には患者や家族の医師に対する感謝の気持ちは非常に大きくなります。患者やその家族に喜んでもらえることこそが精神科医のやりがいの大きなポイントとなるでしょう。

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精神科医に向いている人はこんな人

精神科医に向いている資質として外せないのはコミュニケーション能力です。他の疾患と違い精神疾患は物理的に目で見ることができません。そのため患者の気持ちに寄り添って話を聞き出すことこそが、治療に必要な情報を得る重要な手法となるのです。
しかしその一方で、患者に感情移入しすぎず冷静に判断する力も不可欠です。例えば境界性パーソナリティー障害の場合などでは、医師と患者の距離が縮まりすぎるリスクが高くなり、医師自身の生活に支障が出る可能性も皆無ではありません。
精神疾患は短期間に改善するとは限らないため、長期的な治療にあたる持久力や責任感も必要です。精神科医は、他科の医師や地域の関連施設と連携して治療にあたることも多く、コンサルテーションや協調性が求められることもあるでしょう。
患者の気持ちに寄り添うことが不可欠な仕事であるだけに、患者の感情発露のターゲットになったり患者と感情の行き違いが起こったりすることで医師自身がストレスを抱える可能性も低くありません。しかし、労働者不足や超高齢化の影響もあって精神科医のニーズは非常に高くなっています。年収も上昇傾向にあり他科からの転科も増えているのです。

精神科専門医制度もある

2018年4月から新しい専門医制度がスタートすることが、一般社団法人日本専門医機構によって2017年8月正式に発表されました。これに伴い精神科医の専門医制度も大きく変わります。専門医となることは必須ではありませんが、求人では専門医を募集しているケースも増えており、待遇の良さを求めるなら専門医のほうが有利です。
専門医になるためには、施設認定基準を満たした研修施設で3年間の研修プログラムを受け、試験に合格して資格を得る必要があります。資格の認定は学会ではなく日本専門医機構によって行われることになります。専門医資格は5年ごとに更新があり、旧専門医制度によってすでに資格を得ている人でも、更新時に新たな基準を満たしていなければ資格を維持することができません。新専門医制度では、研修施設が認定基準を満たしている必要があることや、認定された専門医制指導医に指導を受けること、研修先を原則1つしか選べず変更できないことなどいくつかの問題点が指摘されています。精神科医の専門医を目指すなら最新の情報をチェックするよう心がけましょう。

2022.6.17 掲載
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