ドクター転職ショートストーリー

激務の先に何がある・・?(上)

2008年07月15日 コンサルタントY

「体力の限界です。」開口一番B先生から出てきた言葉だった。

B先生は、私立大学卒30代半ばの脳神経外科医で、卒業大学の大学病院で勤務されている。大学病院では、救急、手術、緊急手術による呼び出し、病棟、新人教育となんでもあり、特に4年前の新臨床研修制度が始まってから、忙しさは加速する一方とのことだ。

「先月ハワイに行ってきたんですよ。まあ、国際学会だったんですけどね。現地の人の生活をみてたら、仕事に追われている生活はなんなんだろう、同じ一生なのに。と考えてしまってね。」

毎日、一日が終わり、ようやく終わりを迎えたかと思えば、また翌朝が始まるといった生活。週に一回の当直業務、特に脳外科は緊急性が高い患者が多く、休みの日に呼ばれて緊急手術をするなんていうことは当り前。「休日も勉強したり、論文を書いたり。家族との時間なんてまったく取れないんですよ。」

『B先生なぜ脳外科をお選びになったんですか?』

「正直言うと、先輩に誘われたからっていうのが一番の理由なんです。」

『それであれば先生、今後のキャリアプランと言いますか、将来をどのようにお考えになっているのかを教えてもらえませんか?』

「そうですね。いゃ、私が医者を志した理由でもあるんですが、小さいころにいつも診てもらっていたお医者さん、それが憧れなんです。やさしくて、頼られる、町の医者になりたいです。今はそのつもりはないけれど、5年から10年後までには開業したいんです。今は、手術の腕を磨くためという一心で、大学で頑張ってるんですけどね・・。」

『先生、難しい手術が成功した後の充実感や満足感。一人でも患者様を救いたいという気力で今は現場に立ち続けられていますが、今の生活をあと5年も10年もできますか?』

「・・・・・・・」

黙られてしまった。
激務の先に何がある・・口には出さないが、色々と考えられているのが、ひしひしと伝わった。

日本では科目によって年俸に差はあまりありません。先生のように、夜中に呼び出され緊急手術、そのまま翌日の勤務というような毎日でも、9時から17時の勤務であっても給与はほとんど変わりません。産科、小児科のDrの成り手が足らないことはニュースでもよく話題になっていますが、ワースト1,2が産科、小児科。ワースト3は、実は脳外科です。

『それなら先生、今の手術がメインの急性期だけではなく、手術後の回復期、また大学病院のように専門的なことよりも、幅広く患者様を診る。そのように考えてみられてはいかがでしょうか?今がその時ではないですか?』

次へ続く

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