ドクター転職ショートストーリー

激務の先に何がある・・?(下)

2008年08月01日 コンサルタントY

半月ほどたったある日、ある医療法人が、新しく回復期リハビリテーションの専門病院をつくる情報をキャッチした。

B先生は、将来は開業するのだという事を前提に考えた。
患者様を診られるような環境で、開業資金も貯蓄でき、しかも開業前の準備に時間が取れるようなところ、今のB先生の状況に新病院はピッタリだ。
『先生、まさにこれですよ。いい病院が見つかりました。開業しても、開業したなりの苦労はありますし、今は家族との時間を大切にできるような、ゆとり勤務を選びましょう。』
再度、先生と面談を行い提案させていただいた。
「最近息子が熱をだして近くの診療所に連れて行ったんですよ。その時見ていただいた先生のいきいきと働く姿にやっぱりこれだ!と思いました。息子が生まれた時からずっと診てもらっていて、ふと、自分が手術した患者様は十分なリハビリを受けられているのだろうか?そんなことを考えていたところだったんです。」

面接は8月の暑い日だったがB先生は紺のスーツにネクタイを締められ、約束の時間より30分も早くに待ち合わせ場所に来られた。
「都内でもちゃんと手入れすれば、こんなにきれいにハイビスカスが咲くんですね。」
ハワイでのことを思い出されたのか、入り口に咲いていた真っ赤なハイビスカスを見られ、はじめは緊張されている様子だったが、とても穏やかな目をされていた。

会議室のような大きな部屋に通され、理事長、院長、事務長との面接が始まった。院長先生は、地域の患者さんをどう大切にしているか、チーム医療の大切さについて熱弁された。B先生もご自身の体験談や考え方、なぜ転職を考えたのかをしっかり話されていた。面接は大成功だった。

先生の体験談や考え方を聞いた院長先生から、近頃は患者に真剣に向かい合う医者が少なくなっていたと思っていたらしく、「是非、新病院を盛り立ててもらいたい」と、ありがたいお言葉をいただけた。B先生は、院長のお人柄と医療に対する真摯な姿勢にすごく共感したという。また、転職の動機には含まれていなかった年収についても、1500万円の提示を受けることができた。B先生は迷わず即決された。

先生は大学病院の俗に言う《激務》から開放された。
はたから見れば先生は、激務から逃げたように映るかもしれない。しかし、B先生が転職したことにより、医者になろうと思ったきっかけである『町のお医者さん』に近づく事ができたのだ。年収も1000万から1500万にあがり、勤務も9:00~17:00、当直も無い。開業準備の時間も作れ、何よりも家族との時間が取れるようになった。

半年後に病院を訪問して先生にお会いした。
「あそこでリンクスタッフさんに相談をして本当に良かった。なぜ医者になったのか、将来どうしたいのか、家族について、色々なことを考えさせられました。5年後には開業したいと思います。そのときにはYさん、また相談にのってください。」

あの日、ハイビスカスを見られて穏やかな目をされていた先生の笑顔は、今でもとても印象に残っている。先生に「人生を考え直すきっかけをくれた。」と、言葉に出して喜んでいただけたのが、今回の転職のお手伝いで何よりも嬉しかったことだ。今後のB先生のご活躍を祈念したいと思う。

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