「医師として」 - 家族の為に生涯現役（前）

　H先生との出会いは弊社に「今すぐ転職先を探して欲しい」とお電話を頂いたのがきっかけでした。
　転職の理由や条件など詳しくヒアリングさせて頂くと、現在の病院が経営不振で給与の支払いが遅れる、満額支払ってもらえないなど問題があり、すぐにでも辞めたいとの事でした。

　待遇などの条件については週4日勤務で高額、エリアは都心部で30分圏内、単身赴任を検討しており、引越し代・住居費用を出してもらえる医療機関を希望していましたが、年齢を考えるとかなり厳しく、なにより急いでいる事もあって条件にピッタリ当てはまる医療機関を見つけるのは極めて困難である事は火を見るより明らかでした。

　すぐに求人を探し始めましたが、「待遇はいいが都心部から離れる」、「都心部だが給与が下がる」、「都心部で給与もまあまあいいが住居費用や引越し代は出せない」、「年齢で不可」など、やはりH先生の希望にピッタリ合う求人はなかなか見つかりません。
　待っていれば急募でH先生の条件にピッタリ合う求人が出て来る可能性は少なからずあるのですが、H先生は転職を急いでいる事もあり、それも出来ません。
　そこでH先生に現状を正直に話して、折衷案を作れないか相談すると、H先生も現状と希望条件の理由を正直に話して頂き、なぜH先生がそこまで高い希望に拘るのかがわかってきました。

　給与に関しては災害でご自宅が全壊し、家を建て直したローンが残っており、またご子息の医学部受験も重なっている為、ご子息が医学部を卒業するまではどうしてもお金が必要でH先生が稼がないといけないという理由がありました。
　住居に関してはご子息が勉強に集中できるよう予備校や大学の近くに住みたいと、すべてご家族の事を考えての理由からくるものでした。
　H先生と一緒に折衷案を探していく中で、給与に関しては下げる事は出来ない為、住居・勤務エリアの幅を広げようと方向性は固まりました。
　エリアを広げた事とH先生の思いを聞いた事で、私も必ずH先生とそのご家族の思いに応えたいと、求人探しと医療機関への交渉も今までにも増して熱がこもり、何とか2件の医療機関から面接のオファーを頂けました。