「医師として」メインタイトル
前回のあらすじ
在宅診療の道を歩むI医師の転職は、年齢と
昨今の診療報酬改定のあおりを受け難航。
果たして満足のできる転職は実現できるのか…?
 

第十一話
型にはまらない意志
(後編)

 五 コンサルタントだからできた提案
コンサルタントだからできた提案
私は正直に、I先生の年齢面で苦戦していることと、特定の公共交通機関の駅から近いという条件では、あまりにも範囲が絞られる為、範囲を広げて求人をお探ししたいこと、在宅緩和ケアを学ぶという条件は取っ払って頂きました。
加えて、今回の面談で、新たにご検討頂きたかった材料をI先生にご提案しました。
それは、当初I先生から出された希望条件が「在宅診療を行っているクリニック」だったため、考えが凝り固まってしまっていましたが、今回提案したのは「地域包括ケア病棟をもちつつ、在宅療養支援病院の機能を持ち合わせた病院」での在宅診療専属の勤務でした。
要は、在宅医療を行うことができるのは、何もクリニックだけでは無いということです。
この提案を申し上げた時、数十秒考えた後、その方向も充分検討可能ですというお返事でした。
この展開でよくある事ですが、「十分検討可能ですよ」の言葉の裏には、「本意ではないが」がおおよそ隠れており、その条件を満たす求人をご提案したところで、進展しないのが通例です。
 六 自らが描く在宅医療
自らが描く在宅医療
しかし、I先生の場合、結果的に本意でした。
後に、この事の真意を伺ったところ、「クリニックだと、どうしても急変や増悪時に連携している病院へ患者の受け入れを依頼するのだけれど、場合により受入が出来ない事があって、その場合の病院確保に苦労した」ご経験があり、それに対して「地域包括ケア病棟を持っている病院だと間違いなくバックアップしてくれる安心感がある」という点と「さすがに年齢が年齢なので、そういった面で少し楽に勤務をしてもいいかな」というご回答でした。
2回目の面談の別れ際、先生からひと言「システマチックな在宅医療には興味はないからね」と残され立ち去られました。
ご面談後、私なりに考え、I先生は、どのようなDr.が入職しても同程度の医療を提供できるという型が決まった診療には興味がなく、一人の医師として自らが描く在宅医療をコ・メディカルと共につくり上げたいという信念をお持ちなのだということを強く感じました。
その後ほどなく、I先生の条件を満たすT病院から「是非一度面接に来て下さい」とオファーを頂き、その医療機関から、法人の考え方、現状の在宅診療の体制、職務内容といった詳細情報を確認し、このT病院であれば、間違いなくI先生もご納得頂けると確信をもち、三度、I先生に面談の申し込みを依頼しました。
 七 6か月の結末
6か月の結末
面談時、私は、T病院の在宅部門は

・常勤医師が70歳過ぎのDr.1名、その他非常勤Dr.7名程の体制であること
・500名近い在宅患者を診ていること
・診療圏内において、まだまだ潜在的に在宅患者がいること
・「在宅から入院」「入院から在宅復帰」に向けて体制構築をするにあたって常勤医師を増員したいこと

など、T病院の医療方針ならびに在宅部門の強化に力を入れていくことをご説明しました。
I先生は私の説明に耳を傾け、「自分の目と耳で病院側と面談したい」と言葉少なげに、T病院の面接をご希望されました。
そこからは加速的に事が運び、T病院からは、I先生の10年間の在宅医療の実績を考慮頂き、当初求人を頂いた際の年俸に100万円の上乗せを提示頂きました。
T病院の在宅部門の強化に向けて、I先生も非常にやりがいが持てるとご納得頂いた次第です。
こうして、6か月間に及んだI先生との転職奮闘記を無事終える事となりました。
今回のI先生は在宅医療にターゲットを絞ったご転職でしたが、当然ながら、Dr.一人ひとりが十人十色の考え方とこだわりをもってご転職を考えられています。
「医師には定年はない」と言います。 60歳を超えての転職は難しい様にも思いますが、医療機関の思い、Dr.の思いがマッチすれば、必ず実現できます。そこには年齢は一切関係ないと実感致しました。
一人ひとりのDr.の真意を正確につかみ、それを実現した時の喜びを、改めてI先生に教えて頂きました。
I先生の新天地でのご活躍を心よりお祈り申し上げております。
 
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