「医師として」メインタイトル

第8話
使命~自ら選んだ医師の世界~
(後編)

 五 再始動
つかの間の休息、そして再始動
先生の休息期間は思った以上に短かったように思います。

退職されて約20日後先生よりご連絡を頂きました。この20日間で実家に帰省し、お墓参りや親戚周りを行い普段出来ない事を時間をかけてじっくりしていたとの事でした。

先生は元々1か月以上もゆっくりするつもりは無かったご様子で、早速本題に入りました。
先生とのご面談以降、私よりご報告させて頂いた求人に対し、先生は熟考を重ねた結果、滋賀県、奈良県、大阪で各1病院、計3病院を候補として下さいました。

早速、私は3病院に対し面接、施設見学の設定を行いました。

まずは大阪の医療機関との面接を行いましたが、先生のお考えと若干の相違があり結論は保留となりました。

次に奈良県の医療機関との面接を行いました。
尚、この医療機関から事前に聞いていた情報は、
募集背景
1年前に内科常勤医師が退職し患者数が減った。
患者層
100床以下の一般病床で開設以来、地域医療を目指し運営。
外科、内科、整形外科を中心に、専門外科も標榜しており、高齢者医療に特化する訳でなく、幅広い年齢層の患者様に頼りにされている。
運営体制
病院を母体とした上で、人工透析、内科、外科系の一般外来を併設したクリニックも運営している。病院では多数のオペ実績を持っているなど地域のニーズに則した積極的な医療を展開している。
入職後役割
1年前に退職したdoctorは総合診療的な役割を担っていた。その後を引き継ぎ、外来にて大いに活躍頂き、その上でご専門分野を活かしていただきたいとの意向。
との事で、募集背景の通り、この医療機関では約8年勤められていた70歳代の先生が1年前に退職され、患者数が2割減になっておりました。そこで病院長、事務方より長期間勤務して頂ける常勤医師の重要性、ただ長期間勤務して頂くだけでなく、先生の人柄、外来の重要性を力説して頂きました。

その話しに先生も同調されお話しも非常に盛り上がり、先生も「私も外来を中心に様々な患者様と話しをして、患者様の抱いている問題を解決してあげたいと常々思ってます」と力説されました。

院長より「具体的に外来は週どれ位を考えていますか?」との問いに対し、
「毎日でお願いします。夜診もしますんで!5コマ以上は入れてもろて全然構しません」と即答されました。

流石にこの回答には院長も喜びと驚きを感じたご様子で、「失礼ながら先生は65歳ですよね? その御年であれば病棟管理中心など徐々にごゆっくりとされたい方も多いはず。先生のそのモチベーションはどこから生まれるんですか?」と話されました。

先生はにこやかに「履歴書の通り、私は非常に遅くに医者になりましてん。病棟も欠かす事の出来ない、立派なお仕事やと思てます。しかし私は先ずは患者さんと毎日話して、その方の症状をずっと見ていたいんですわ。それが私の使命であり、自ら選んだ道やと思てます」と話されました。

その後も先生の勤務に対する希望などを面接で伝え、先生のご希望を最大限叶える為に、週に1日は病院が運営するクリニックの外来も担当して頂く事が決まりました。
 六 エピローグ
愚直なまでに、医師として生きる
先生は滋賀県の面接を辞退し、この奈良県の病院にご入職を決めて頂きました。
面接中、先生はご自身の考えについてこうも話されていました。

「いろんなタイプの医師がおりますわな。専門性に特化して非常に難しい症例をたくさんこなしてはる医師。私の様に地域にこだわり、外来にこだわる医師。みんな自らが選んだ道に愚直に進んでるんやと思いますねん。当然、愚直に進みたくても体力的、技術的に衰えて転科を余儀なくされる事もあるでしょう。その転科も含めて自ら選んだ道やと思います。だから私もそうですねん。私は16年間の会社勤めをした後に、自ら選んで苦労して医師になりました。だから私は死ぬまで医師であり、その医師としての使命は愚直に患者様と膝を突き合わせていく事やと思てます・・・」。

話し方は豪快で、関西商人と言われても疑う事も出来ない様な先生ですが、この先生のお人柄に救われた患者様が多数おられると思います。

私は型にはまった『プライオリティ』では無く、先生によって様々な拘りがあり、その拘りを如何にして伺い、叶える事が出来るのか? その点も非常に重要な事だと先生にお会いして気づかされました。

現在も先生は奈良県の病院にて日々笑顔一杯で患者様と向き合っていらっしゃいます。
 
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