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年齢を重ねても、安心して暮らせる医療を

運営・経営方針

1.運営・経営方針

 河北医療財団の方針に「教育(医学水準の向上)」、「職員の働き甲斐の向上をはかる(ライフサイエンス)、「健全経営」とある。これらについて、舟木院長に伺った。

 「まず教育についてですが、看護部はラダーシステムで教育をしているので、それをリハビリのスタッフにも応用できないかと考えました。リハビリスタッフは多摩事業部の色々な部署にいますので、それを統合してリハビリセンターを作り、そこで教育しようというものです。看護部のラダーと同じように、年次ごとの到達目標を設定しているほか、当院にとどまらず、老健や訪問看護ステーションなどの事業所などでローテーションを組んだ教育をしています。」

 働き方改革が注目される中で、天本病院ではどのように職員の働き甲斐を向上させているのだろうか。

 「一生懸命に働いてくださいねというのでは済まない時代ですから、なかなか難しいですね(笑)。以前は計算が主な仕事だった医事課も今は医療事務の仕事をしていて、医療により近づいた存在になっていますし、看護師も専門性を高めています。当院では認定看護師や特定看護師などを目指す看護師には資格取得支援をしていますし、これから看護師を目指す人にも奨学金制度を整備しています。看護師の人材不足を補う意味では外国人看護師を雇用し、現在は中国人と台湾人が働いているほか、ベトナム人の介護職もいます。新型コロナウイルスが収まり、行き来が再開したら、外国人スタッフも増やしていくつもりです。」

 健全経営についても伺ってみた。

 「脳ドック、がんのスクリーニング検査にも力を入れていますが、医療機器や職員の問題があるので、拡大するのは難しいです。この発言は上の人に怒られるかもしれませんが、私は医療は儲けたらいけないと思っているんです(笑)。しかし、職員に給料を払わないといけませんし、患者さんに選ばれる病院になるためにはサービスが必要ですから送迎車も買いました。医療機器の買い替えやICTの整備、綺麗な外観の維持も求めらますので、動かせる資金もいるのです。我々の仕事は働けば儲かるというものではなく、診療報酬は決まっていますので、水増しするわけにもいきません(笑)。職員に渡したうえで内部留保していければ有り難いですね。」
 

2.地域連携

 天本病院ではあいセーフティネットという地域連携の仕組みを整備している。

 「以前は医師が病院にいて、患者さんが病気になれば病院に来て、良くなれば退院するというのが一般的な形でした。しかし、今は限りある医療資源を有効に利用し、大勢の患者さんを診るために、急性期病院は急性期に特化しないといけません。急性期病院のベッドが空かないと、次の患者さんの受け入れや手術ができないからです。それには地域連携が必要です。この地域の急性期病院は多摩南部地域病院や日本医科大学多摩永山病院ですが、そこで急性期を過ぎた患者さんを当院で受け入れています。最近では地域連携室のスタッフ同士も付き合いが深くなってきたので、良い連携ができています。当院の入院患者さんの半分が大きな病院や地域の開業医さんからの紹介によるものです。医師会の先生方とも病診連携を進めています。私も個人的に親しくしている先生方がいますので、検査などもお受けしています。」

 天本病院は多摩市からの委託事業も積極的に引き受けている。

 「高齢者の見守りにあたっては当院の職員が頑張っています。多摩ニュータウンの団地を回っていますが、エレベーターのない団地だと大変のようです(笑)。しかし、そこで出会った方が患者さんとして来院されることもあります。これから熱中症の季節なので、縁の下の力持ちとして、ますますの支援をしていきます。」
 

3.今後の展開

 これからの日本では人口減少が進み、特に若い世代が減っていきます。そして多摩地域ではものすごいスピードで高齢化が進みます。多摩地域は現在も80代、90代の独居の方が少なくありませんし、リハビリが必要な方も多くいます。一方で、診療報酬改定や介護報酬改定が2年に1回あるので、経営計画を1年単位で見直すわけにもいかず、新しい事業を展開していくのは難しい時代です。しかし、国も人生100年時代だと言っていますので、当院でも多摩地域の70歳以上の方々をお手伝いできる事業をしたいと考えています。

2020.07.01 掲載 (C)LinkStaff

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