HOSPITAL INFO - 天本病院の病院の特色

1．在宅療養支援病院

　天本病院の大きな特徴は在宅療養支援病院であることだ。在宅療養支援病院は患者さんが住み慣れた地域で安心して療養生活を送れるように、在宅患者さんの求めに応じ、「24時間往診が可能な体制を確保」、または「訪問看護ステーションとの連携により24時間訪問看護の提供が可能な体制を確保し、緊急時には入院が可能」など、必要に応じた医療や看護を提供できる病院のことである。
　天本病院では訪問診療、訪問看護、訪問リハビリテーション、通所リハビリテーションなど、医療と介護の密なネットワークを築き、患者さんの在宅生活を365日24時間支援している。

　「当院は高齢者医療を強みとしている病院ではありますが、ベッド数には限りがありますので、サテライト施設とともに努力しています。在宅療養支援病院として、当院ならではの特別な取り組みというものはありませんが、患者さんのもとにこちらから出向いていくという感覚を大事にしています。当院はサテライト施設が多く、19カ所ほどあります。患者さんとしては良くなったら家に帰りたいですし、ご家族も早く帰ってきてほしいと願っているわけですから、その願いを叶えてさしあげないといけません。多摩市全体が大きな病院であると考えると、患者さんのいるご自宅が病室であり、当院がナースステーションみたいなものなのですね。したがって、医師や看護師が院外に出て、患者さんのご自宅や施設に訪問したり、診療したり、看護やリハビリをしています。今はこうした訪問診療は当たり前でしたが、開業当初からこれに力を注がれた天本先生はやはりパイオニアですね。」
 

2．認知症ケア

　天本病院の認知症ケアの歴史は古く、1980年の開設時から認知症の患者さんが安心して利用できる病院を目指してきた。もの忘れ外来では認知症専門医、精神科医、脳神経外科医による認知症の早期発見、早期治療に傾注している。

　「天本先生は恩師の長谷川和夫先生とともに認知症を研究され、この地域を含め、全国で調査をされてきました。かつては呆けやもの忘れと言われていた認知症ですが、天本先生はいずれこの病気が増えると予知されていたんですね。当院の認知症ケアには天本先生の哲学が反映されています。」

　特筆すべきは認知症ケアサポートチームによる全病棟での認知症患者さんの受け入れだろう。

　「このチームには精神科医のほか、4人の認知症看護認定看護師がいます。最初は入院している患者さんの中で認知症の方の支援やケアをしていました。チームのメンバーが各病棟を回り、医師や看護師から認知症の患者さんの情報連絡を受ければ介入するという形でしたが、今は病棟にとどまらず、院外でも活動しています。認知症の患者さんがいるご家庭に行くのはご近所に迷惑をかけるかもしれないですが、それでもやっていこうということですね。認知症の患者さんに対しては医師が薬を出すだけでは駄目で、資格を持った看護師や相談員など、多職種でチームを作って、患者さんの環境を考えていく必要があります。」

　多摩市でも認知症予防に力を入れていこうとしており、天本病院にかける期待は大きい。

　「多摩市からの委託事業で、認知症初期集中チームを作っています。メンバーは認知症ケアサポートチームとオーバーラップするところはありますが、チームを少しずつ拡大し、高齢者の見守りを中心に活動しています。」

　また天本病院では「認知症を考える会」という家族会を作っており、年に数回の活動を行っている。
 

3．リハビリテーション

　天本病院では医師の診断のもと、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が連携し、介護予防から終末期にわたってリハビリテーションを提供している。広いリハビリテーション施設があり、専門医をはじめ、55人のリハビリテーション専門職が在籍し、基本動作の回復や現状維持、社会活動や在宅復帰に必要な能力向上、寝たきり予防のためのリハビリを行っている。

　「高齢者医療ではリハビリは必須です。当院は整形外科の病院ではありませんが、急性期からの患者さんを受け入れ、在宅に戻すにあたってのリハビリを行ってきました。私が当院に来たときにはリハビリ施設の充実ぶりに驚いたものです。私はもともと心臓血管外科医で、手術をしたら終わりという感覚がないわけではなかったので、在宅に戻す手前の段階としてのリハビリの必要性を改めて感じています。当院には55人のリハビリスタッフがいますが、老健や事業所などを含めた多摩事業部全体では80人を超えるスタッフがいます。今後の課題は訪問リハビリです。患者さんがご自宅で帰られると、これでいいのかと不安になるようなので、スタッフを充実させていきたいと考えています。」