ドクター転職ショートストーリー

T先生の新たな人生設計(上)

2020年8月15日 コンサルタントK

T先生からお問い合わせを頂いた際、そのご経歴からは想像し難い求人を希望された為、少々驚かされました。 当時、T先生は初期研修を終えて専門研修に入られたばかりの専攻医1年目だったにも関わらず、キャリアアップや転科のご相談ではなく、老人保健施設での勤務を希望されたからでした。

元々、専攻医1年目のDrからのご相談は多くはなく、専門医を取得後にさらなるスキルアップや待遇面の改善、単純に収入面のアップなどのお問い合わせが大半なのですが、T先生は一般大学を出られた後に社会人経験も数年あり、その後に医大を出ておられ非常に多彩なご経験と豊かな人生観をお待ちでいらっしゃる為か、「医師として」を優先に考えられる一般的なお問合せとは少々内容が異なっていました。

T先生は、専攻医1年目という立場上、専門医の取得を目指すのであれば少なくとも後2年は修練を重ね、多くの症例に触れながら研鑽を積むことが重要になる為、必然的に家庭を省みることは難しくなり、医師としての自分を優先せざるを得なくなるとのことで、医師としての人生だけでなく、一人の人間として、家族を持つ身として、これからをどう生きていくかを考えた上で、このタイミングで医局を離れることが一番だと判断したと丁寧に説明して下さいました。

また、専攻医としての時間が長くなれば、それだけ自身に関わって下さる指導医の時間も費やすことになり、研修先で出会う多くの方に対しても、結果的に不義理になってしまう為、決断は早い方がいいとの結論に至ったとのことでした。

そして、もう一つT先生には譲れない思いがあったのです。

次へ続く

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