ドクター転職ショートストーリー

お金にはない価値(下)

2018年09月01日 コンサルタントY

面接はとても和やかな雰囲気で進みました。理事の人柄も本当にすばらしく経営者には見えないくらい腰の低い方でした。話も良い感じで進んだとき、その理事は驚くべき行動に出ました。頭を深々と下げ「〇〇先生、ぜひうちに来てください!!お願いします。相談なら何でも乗ります。〇〇先生に来て欲しいです!!」

採用側のこのような行為や態度は私の経験では初めてでした。クリニックといってもこの理事は医師ではありませんでした。医療については素人でも経営面となると手腕を発揮される方なのかその時はわかりませんでした。それでもその行為には医師も驚き恐縮していました。面接はここで終わり、持ち帰って前向きに検討という結果でその場は別れました。

後日、その理事と医師はメールで直接のやりとりを経てその都度、面談をされて条件面やクリニックの展望などいろいろと話し合いが行われました。案件がかなり深いところまで進んだ時に予想しない事態が起きました。

同業他社からの紹介で、この透析クリニックよりも300万も給与が高い内科外来クリニックをその医師は紹介されたのです。私の今までの経験で給与面で劣り、入職が成立しなかった案件は数え切れないほどあります。それもありその提案がなされたと聞いたとき。「今回はご縁がないかもしれない。。。」と思いました。

まだ30代で小さい子供2人を育てる腎臓内科医。当然、教育関連等これからたくさんお金もかかるはずです。約2週間の熟考時間が過ぎ、その医師からメールが届きました。

「今回、本当に良く考えました。迷いました。しかしながら理事のお人柄は本当にすばらしく面倒がらずに何度も何度も面談の時間を割いてくれました。この人とクリニックをやって行きたいと思いました。ですのでこの度の透析クリニックでお世話になります。」

この時、今までの私の経験則にはない人情や熱意に惹かれて、入職を決意する医師の姿を見ました。転職はお金や条件ばかりではなく、パートナーとなる人柄や熱意により決断ができることをあらためて知らされました。

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