ドクター転職ショートストーリー

故郷の病院を救う(下)

2018年05月01日 コンサルタントY

面接当日、大阪から現地へ車で移動することもあり、出社せず直行で某県へ向かいました。移動の車中、この医師の人柄のことや、本当にお話を聞くだけで終わってしまうんじゃないかという不安を思いながら向かいました。

面接時間より1時間近く早く到着し、ひとまず病院周辺や院内の見学をさせてもらい、開始20分前に病院前で待つことにしました。「まだ早いかな。おそらくギリギリの時間に来られるだろうな。」という私の予想に反して、その医師は15分も前にお世辞でも高級とは言えない自家用車で来られました。

「お待たせしました。私、〇〇と申します。この度は面接の場を設けていただきありがとうございます。」丁寧すぎるほどのご挨拶と名刺をいただき私は驚きを隠せませんでした。乗っている車やその振る舞いを見て、私はなんとかこの病院で勤務して欲しいと思うようになったのです。

面接は和やかに終わり、いったん持ち帰って検討という結論で面接の場は終わりました。ここまでは思い描いたシナリオでした。

病院を出てから私は医師に「〇〇先生、この病院は院長が退いて代わりの医師がいなければ閉院の危機に陥ります。生まれ故郷の病院を救うという意味で引き受けていただけないでしょうか?私からもお願いしたいです。」と私の本心をお話した返答は、「そうですね。私は研修医時代から長く他県に出ていて、余生はゆっくり故郷でという思いで生活していました。でも幼少期からお世話になったこの〇〇県で今度は地元のために現場復帰してみようかなと思ってますよ。」という心が震えるようなお言葉でした。初めて電話でお話しした印象とはかけ離れたとても人情味があり粋に感じる医師だということがこの時、初めてわかった瞬間でした。

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