ドクター転職ショートストーリー

限界を見据えて、働き方を変える転職(下)

2018年04月01日 コンサルタントI

ご自宅から約1時間圏内で訪問診療の求人は数件ありました。
その中で、勤務日数やオンコール対応など柔軟に相談ができ、年棒も希望額が可能な近距離のクリニックが1件ありました。

Sクリニックは内科医師の募集とのことでしたが、非常勤週1日とはいえ、訪問診療の経験があることと、ペインクリニック可能ということでT先生に興味を示されました。

ペインクリニックに興味を示された理由としては、診療報酬改定にて訪問診療クリニックの一部では外来を強化しなければならず、クリニックとしては当然の事ながら内科外来を強化する方針ではありました。
しかし近隣の内科外来中心のクリニックとの競争では集患という面では不利な状況であり、ペインクリニックは近隣クリニックとの差別化を図るためにも好都合という考えでありました。

Sクリニックとしては週3日勤務も検討は可能ではありましたが、本音は週4日以上の勤務を望まれておりました。
T先生にご紹介したところ、週4日勤務であっても年棒面に魅力があれば十分考えられるとのことにて面接希望となりました。

T先生は面接の心構えとして自分を売り込むことを重点においており、面接はプレゼンテーションという考えでした。

私達はDrのことを人柄や職歴に基づき医療機関に紹介して、面接設定や条件交渉を行います。
面接時、医療機関はDrの口から話を聞く必要があり、会話の中で人柄やコミュニケーション能力を見極めていると思われます。
ですので、T先生の面接は有意義になることと確信しておりました。

Sクリニックの面接は経営・採用責任を担当している理事と法人本部で行いました。
法人としての現在の体制・患者数、在宅・訪問診療への考え方、スタッフを含めた人事関連など一通りの法人・クリニックの説明があり、T先生への質問となりました。

・なぜ訪問診療クリニックを希望したのか?
・訪問診療経験の内容
・オンコール対応の可否、 などなど

T先生は取り繕った回答ではなく、先生自身の言葉によって自らを知ってもらおうというお考えであり、出来ない事は正直に、その代わり他の面で貢献するという回答で、ご自身をアピールしていました。

質疑応答や雑談なども混じりながら会話が進み、理事の口から『T先生は週3日が希望でしたよね。T先生を是非、迎え入れたいので週3日でも4日でも先生の希望通りにします。』

紹介時には法人としてはあまり前向きではなかった週3日勤務も現実的となりました。

T先生『それはありがたいです。週3日の方向でお願いします。』

勤務内容は週3日のうち、1コマを外来担当という構想となりました。
週3日勤務にてT先生の一週間のスケジュールに1日余裕ができたことにより、同法人で運営している産婦人科病院の麻酔科のスポット応援も可能ということを、T先生から提案もして頂きました。

後日、理事長面接の予定でしたが、T先生から勤務状況把握には1日トライアル勤務が一番理解しやすいとの希望で、トライアルを実施し、勤務終了後に理事長先生との面接となりました。

トライアル勤務も理事長面接も懸念材料は特になく、入職合意となりました。

今回の転職はT先生が自らをアピールして、医療機関が先生の人柄を理解した結果、T先生に有利な条件を引き出したことになりました。

T先生・医療機関双方が満足して頂くことになり、T先生・Sクリニックにただただ感謝の気持ちでいっぱいです。

T先生は9人の大家族を支えるため、ご自身が長く従事できると思われる職務へと働き方を変えることになりました。

コンサルタント手記バックナンバーへ