ドクター転職ショートストーリー

最後の転職(上)

2017年12月15日 コンサルタントM

7月中旬、60代の産業医のK先生から問い合わせの電話がありました。
「転職を考えていますが、検診業務の案件があれば紹介してほしい」という内容でした。

早速、K先生の詳しいご希望をお伺いする為、面談の機会を頂ける様お願いすると、K先生はすぐにご勤務先の近くのカフェでの面談を設けて下さり、翌週K先生のお話を伺うことになりました。

K先生は、長年活躍されているだけに、お年を感じさせない非常に立派で貫禄のある先生という印象を受けました。

K先生は現在、常勤として週4日、大手上場企業の産業医としてご勤務されているほかに、非常勤として週1日病院の婦人科にてご勤務されており、お休みの日はジムで汗を流すことや、サッカー観戦をされ、アクティブに過ごされているということでした。

K先生は、「産業医として20年近く勤務していた中で予防医学に興味を持ち、独学で漢方医学も勉強した。その中で日本人は病気になってから病院に行くという考えが未だに根強く残っており、予防医学に関する知識が不足していると感じた。そこで、健康な人を対象に行う健診業務に興味を持った。」というお話をされました。

K先生のご実家は代々医師の家系で、K先生が10代目。
先生の御子息は、医師国家試験合格に向けて勉強を続けていらっしゃるとのことでした。
「子供が、医師として活躍している姿を、現役の医師として、成長を見届けたい」という、ご家族に対する想いも、今回転職を決意された理由でありました。

K先生からのご希望は週4日勤務で年俸は1,400万円。さらにK先生は「勤務の内容や働きやすい環境と人間関係、通勤時間を重視して考えます」と仰っていました。

実際に会って話を伺った中で、「今回の転職が年齢的にも、人生で最後だと思っています。宜しくお願いします。」というK先生の言葉に、先生の想いや希望に応えたいという気持ちが強くなりました。

K先生にお会いした翌日から面談時にお伺いした条件を参考に案件を探させて頂き、4つの候補を見つけだし、先生へご案内させて頂きました。

その中からK先生は予防医学への考え方や啓蒙活動が、先生の考えと一番近いHクリニックの求人が気になられた様子でした。

早速、K先生が実際に勤務された時のことをイメージしやすいよう、Hクリニックに訪問し、事務長からお話を伺いました。

常勤の先生方の人数や年齢、出身大学や勤務体制、医局の様子やクリニックの様子、ホームページからは得られないクリニックの基本理念に対する取り組みなど、クリニックの魅力をK先生にしっかりご説明出来るよう、出来る限りの情報を集めました。

また、K先生の予防医学への考え方を考慮しながら、Hクリニック以外の求人についても各医療機関に訪問し、情報を集めました。

K先生との情報のやり取りは、郵送で送った後に携帯電話に連絡をする形でした。
郵送物が先生のご自宅に到着次第中身を確認頂き、連絡を取り合える様に段取りを組み、K先生も協力的な姿勢で臨んでくれました。

K先生の最後の職場を見つけ出してみせるという想いを胸に、先生が納得される求人を提案出来るよう準備を重ねました。

そんな折、K先生から一番はじめにご紹介したHクリニックについて、連絡がありました。
「直接話が伺えるようであれば、面接の日程調整をして欲しい」という内容でした。

次へ続く

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