ドクター転職ショートストーリー

思うようにいかない転職(下)

2017年11月01日 コンサルタントH

先生も81歳ですが足腰は丈夫で杖を使うことなく、駅まで徒歩15分ほどかかりますが運動のために歩かれているくらいです。そのことを先方に伝えても年齢の部分でお断りが多かったので、少し条件を緩和して頂けるよう先生にお願いをしたところ通勤範囲を1時間半ぐらい広げてもいいので老健求人を紹介してほしいと言う事でした。

ここ15年くらいはずっと老健勤務をされ、よっぽど性にあっているのだなと感じました。私もその気持ちに応えるべく確認作業を入れますが、大半の施設は常勤医が1名おれば十分で、先生が希望されている地域はDrからも人気がある地域と重なっていることからもかなり難航しました。

そんな時、ある訪問診療のクリニックより常勤医の急募の連絡を頂きました。
そのクリニックは強化型在宅診療所で、ご家族の事情で常勤医が急遽退職することになったので訪問診療ができるDrを早急に紹介してほしいという内容でした。

老健求人がすぐには無かったので、年のためこの訪問診療の求人を提案しました。
すると先生からは、私に任せるから勤務できるように交渉してくださいと言う事でした。
少し転職疲れがうかがえるようなところもありましたが、面接にはご足労頂けました。
事前に年齢の部分はお伝えしての面接でしたが、やはり夜間の対応は難しいだろうという理事長の判断により残念な結果となりました。

面接が終わり少し歩いたところに公園があり、先生はおもむろに立ち寄りベンチに座り込まれました。先生自身は健康にも自信がり、働きたい気持ちはやまやまあるのに断られ続けることで気力をなくした感じで、私に先に帰っていいよと言ってくれました。

会社に戻る途中で、先生から私に任せるからと言ってくれた言葉が頭から離れませんでした。先生の仕事がしたい、入所者さんの健康管理をしっかりしてあげたいという純粋な気持ちに応え切れていない自分に情けなく感じ、もう一回勤務可能地域にある老健をすべてリストアップして1件ずつ電話を入れ始めましたが、すべて充足で求人を探し出すことができませんでした。

その時、希望される地域の老健で募集したいと言う連絡が入りました。そちらは当社のコンサルより入職頂いたDrが勤務されておりましたので当然連絡は入れていなかった老健で、事情を伺うとコメディカルとのコミュニケーションがうまく取れず、施設としては後任の医師探したいと言う事でした。

もうここしかないと確信しました。すぐに先生に連絡を入れ翌日に面接を設定しました。先生も希望地域の老健施設ということで、公園の時より数段元気な声で面接に行かせてもらいますと返事を頂けました。

結果としては、施設の方も非常に温厚な先生でスタッフともうまくやって頂けそうな先生だと大変喜んでもらえましたので、即入職が決定し先生も満面の笑みでした。

この事案で自分に余裕がないなと感じました。
結果を出していく必要がありますが、そのことにより先生を面接に連れまわすような感じになった事は否めません。「果報は寝て待て」ではないですが、求人が出るまで少し待ちましょうと言う提案ができることで先生が落ち込むこともなかったと申し訳ない気持ちにもなりました。

結果的には、先生からは通勤時間も丁度いい感じの老健を紹介してくれて有難うとお言葉を頂戴しました。そんな大らかで温厚な性格をお持ちの先生のお手伝いを出来たことは誇りに思えますし、今後も相手の思いやることを肝に銘じながら先生、医療機関の双方が幸せになるような仕事を行ってまいります。

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