ドクター転職ショートストーリー

寄り添うということ(下)

2016年07月01日 コンサルタントK

しかし、先生に紹介させていただいたところ、通勤に高速道路を利用する必要性、クリニックの立地環境、内視鏡機器の充実度などの理由でいずれもNG。改めて、クリニックを探して紹介させていただくものの、先生の理想とするクリニックではありませんでした。
面接へと進めない状況に私自身が半ば諦めかけていたせいか、先生へ連絡しても応答いただけない日々が数日間続き、先生との距離も遠くなってしまったように感じました。

新人の私は、先生に納得いただけるクリニックを紹介できないことに無力さを感じつつも、過去に紹介したクリニックの資料に改めて目を通してみました。すると、やはり一番最初にご紹介したおすすめのクリニックは、他のどの求人よりも先生の要望に叶うものだと感じました。

そんなある日の14時過ぎに携帯電話が鳴りました、待ちに待った先生からの着信ですぐさま応答いたしました。電話の内容は、同僚の医師やコメディカルの退職が相次ぎ、職場環境が悪化、心身ともに疲弊し、いたたまれなく電話をしたとのことでした。患者を診るのではなく、流れ作業のような診療に医師としてやるせないことに身も心も疲れはてたとのことでした。

私は先生の声を聞いて目が覚めた。「私が諦めてどうする!」先生は私を頼って電話を掛けてきてくださった。先生へ全力でお手伝いしたい!と奮起し、翌日面談のお時間をいただき先生に真っ先にご提案したクリニックを再提案しました。一つ間違えれば、そんなことで面談の時間が必要だったのかと怒られるかもしれませんが、このクリニックほど、先生の理想にあう求人はないということをご理解いただきたかったための行動でした。

この求人を再び提案することで、先生は初めて本音を話してくださいました。
先生は、以前同クリニックへ他社を通じて面接予定でしたが、何らかの理由で面接に至らなかったという経緯があったとのことです。そうした過去が面接に対してネガティブな気持ちを引き起こしていたようです。
先生からは、まだこの求人が募集中であれば進めてほしい。と嬉しいお言葉をいただくことができました。

早速、医療機関へ再度求人の確認を行ったところ、他社より1名面接の予定があるとのことでしたが、先生のご経験と診療に対するお気持ちを伝えた結果、是非とも面接をお願いしたいと即答をいただくことができました。

そして、クリニックの事務長との一次面接を難なくクリアし、理事長との二次面接でも先生のお人柄、ご経歴等を総合的に判断頂き、他社提案の先生を抑え、双方ともにご満足いただける結果となりました。

面接にたどり着くまでは長い道のりでしたが、先生のキャリアや人柄が評価されたこともあり、実にスムーズに採用に至りました。ご入職後に近況をお伺いした際には「患者さんと向き合える診療ができるようになりました。そして何より子供が生まれてから、初めて完全週休二日で子どもの成長にじっくりと向き合える時間が持てるようになりました。子供も妻も大変喜んでおります。私も仕事への励みとなり、充実したワークライフを送れています。本当に有難うございました。」とたいへん嬉しいお言葉をいただくことができました。

コンサルタントにとって大切なことは、医療知識を深めることはもちろんですが相手に寄り添い、正しくニーズを引き出すこと。
先生と同じ立場の目線で、先生のお考え、お気持ちを掴みとれるコンサルタントになれるよう精進し、今後も先生方にご満足いただけるお手伝いをして参ります。

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