ドクター転職ショートストーリー

帰郷(上)

2015年10月15日 コンサルタントK

N先生との出会いは、2015年4月だった。N先生より連絡を頂き、転職の件にて相談したいとの事だった。N先生は、九州地方、離島出身の男性内科医である。大学を出た後は、関西に移り住み来春定年を迎える。定年を迎えるにあたり、帰郷を考えていた。

N先生の故郷も医師不足に悩む地域の1つである。先生は年齢が60歳を越え、体力的にも衰えて来たことからあまり無理をせず、出来る範囲の中でゆっくりと過ごす事が出来ればと考えていた。

私は、N先生と面談し、条件面など詳しくお伺いする事にした。先生は現在の勤務が忙しく直ぐには時間が取れないとの事だったが、来春の転職にむけ、早めに情報を集めた方が、より良い転職が可能だと思われる旨をお伝えし、お時間を頂く事となった。

後日、待ち合わせし勤務先近くの喫茶店にてお話をお伺いした。お会いした印象としては、年齢よりも若く見え、明るく快活な口調で話される印象だった。30年ほど関西に住まわれていた為か、関西弁で話をされていた。

たまに帰郷されるそうだが、地元の方言も話される様で『帰郷しても言葉のほうは問題無いと思うよ』と話されていた。

N先生の希望としては、週4.5日勤務 当直、オンコールの免除、療養など病棟を中心とした勤務、又は老健などの勤務である。

面談時にN先生のお若いときの話を聞いた。元々は消化器内科を中心としたお仕事をされていた様で内視鏡検査や処置等も専門を追求していたそうだ。

30代の頃は、体力もあり急患対応や夜間の当直も精力的に携わって来たとの事だったが、40代に入り慢性期医療や老人医療に関わる様になり、消化器専門では診療に幅がなく、力不足を痛感したとの話をされた。呼吸器や循環器の疾患に対して、適切な処置や処方が出来ない自分が情けなかったと仰っていた。

その後、老人医療(慢性期医療)の重要性をお感じになられ、患者さんやその家族との関わりを大事にしてきたとの事だった。

転職にあたって、故郷で地域住民の方々とじっくり向き合って行く事が出来ればと話をされていた。N先生は、転職時期が2016年4月を予定しており、情報を集めたいと考えていたようだ。

N先生の年齢や地域からも、先生の希望や条件をかなえる事は可能と思われ、年俸や赴任費用、宿舎などの提供など、詳細な打合せを行い、求人の開拓を行う事にした。

N先生の条件である週4.5日勤務 当直・オンコールの免除をベースとして、年俸1,400万円を希望されていた。業務的には、病棟を中心とした勤務と言う以外は、特に大きな要望は無く、赴任費用や宿舎の提供などについても可能であれば有り難いが必須ではないとの事だった。

早速、N先生の希望や条件を基に医療機関へ連絡を取り、状況を伺った。N先生の故郷は、急性期を担う中核病院を中心に療養や老健施設、地域住民の初期診療を担うクリニックは存在するが数は多くなく、医師についても本土からの支援を受けながら、医療の提供をおこなっている状況である。

N先生の希望を叶えるにあたっては、どこも医師が不足している環境の中、N先生に負担なく働いて貰える様、条件を調える事が出来るか否かであった。

募集状況の確認と来春に向けた動きを確認した。各医療機関の反応は良くN先生に興味を持って頂いた先は多く、幾つかの医療機関が、受け入れに名乗りをあげて頂き条件面など詳細な打合せを行った。

N先生へ候補となる医療機関の情報をお伝えした。今回提案したのは、療養病床を主体とした入院患者を多く受け入れている病院及び介護老人保健施設の施設長の求人を提案した。

基本となる条件については、おおかた了承を頂く事ができ、当直やオンコールの免除について、しっかりと条件面を守って頂く事が出来るのか否かが鍵と思われた。各医療機関とも先生との面談を希望されており、その旨をN先生へお伝えし、不明な点や疑問などあれば申し出頂きたい旨もお伝えした。

N先生も地元の医療機関の実情をお調べになられており、協力出来る部分については、可能な限り対応したいとのお気持ちがある様だった。

次へ続く

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