ドクター転職ショートストーリー

めぐりあえたら(下)

2015年06月01日 コンサルタントI

その後、クリニックにもS先生の印象を確認したところ、大変ありがたいことに『是非是非お越し頂きたい』との回答を頂くことができました。先生のスキルもそうですが、言葉遣いや口調での人当たりの良さなどを高く評価して頂いての結果でした。勤務曜日については院内調整するので一週間ほど時間を要するとのことでした。

しかし一週間で解決とはいかなかった。『調整不可ではないがそう簡単には・・・。』
「引き伸ばされてしまっている。」再度、先生の気持ちを確かめるべく連絡を取った。
S先生としては決める気持ちはあるので、『出来る限りの事はします』との有難いお言葉を頂いた。先生にあまり負担を掛ける訳にはいかないので、再度クリニックへの先生のお気持ちと、院内調整をお願いした。その日から数日間、クリニックと調整が前進後退を繰り返した。

そして11月のある日、クリニックからの正式回答がありました。内容は『調整がつきました。週4日で1200万円で勤務をお願いします。』(有難う御座います、有難う御座います)何度その言葉を口にしたか数え切れない。先方としても、なんとしても先生を迎え入れたいという気持ちが伝わってきた。最終的にはグループの総理事長との面談を行い内定となるが、顔合わせ程度となっており、実質内定を頂いた形です。諸条件を再確認し、当日中に招聘条件の連絡を頂けるとのことで受話器を置いた。通常夜にしか、繋がらないS先生であったが、早速連絡をと思い、携帯番号をプッシュした。『ただいま電話に出ることが出来ません、ピーとなったら・・・』留守電へ簡潔な内容報告を入れ、メール送信も行なった。先生の気持ちに変化がなければよいが・・・面接から時間はたっている。数時間後先生からのメール返信。『こちらこそ宜しくお願い致します。』その一文だけで感謝、感謝である。直後に再度、電話をしてみたが、また留守電。「勤務中ですよね」心の中でつぶやいた。

クリニックの招聘条件をメール連絡後、夜に3回目の電話をしてみた。ようやくS先生は電話に出られ、お互いに『宜しくお願い致します』『有難う御座いました』。先生も安心され満足されているようで、私も安堵しました。諸条件を確認していく中で、先生は曜日調整がつかなければ、長年診てきた患者様のためにどうしても続けたかった現勤務先の退職も考えていたのだという。

互いに忙しい総理事長と先生のスケジュールを確保するのは、またしても時間を要したが12月のある雨の日、今後週1回勤務することになる病院で面談をおこなわせていただきました。

総理事長と先生が同郷ということもあり、面談は滞りなく進み、『先生が来てくれるならば安心だ』と総理事長の言葉で面談は終了しました。

今回はクリニック側に困難な調整をして頂いた結果、S先生にとって、より良い結果となった。そうさせたのはS先生の人徳だと思います。先生としても、今まで診てきた患者様にも迷惑を掛けずに済んだことは、気持ち良く新たな勤務が出来ると言われました。

私としても引き下がらず交渉し、結果に結びついたことは、この先生やクリニックのお陰ではあるが、満足のいくご紹介ができたと思いました。

これからも厳しい状況でのご紹介をする場面があると思いますが、先生方や医療機関のご協力のもと、より良い結果となるよう、最善を尽くしていきたいと思います。

入職前にS先生へ連絡した際、『この地で勤務するのが夢でした。』とうれしい言葉が今でも心に残るコンサルティングでした。

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