ドクター転職ショートストーリー

とある女医の転科(下)

2013年09月01日 コンサルタントH

そんな中、一般内科を診ながらであれば検討できると手を挙げてくださった医療機関があった。D先生に話をすると、面接に進みたいとの返事だったので、早速、面接のセッティングを行った。

しかし、院長先生や事務長と話をしていくと、あくまでも求めているのは一般内科医としてのスキルであり、症例数もそこまで多くないという。仮に入職しても糖尿病の勉強はできないのではないかという結論に至り、次のステップに進むことはできなかった。

糖尿病の専門医が取得できる医療機関に対しての打診を始めて、3週目に突入した頃、別件で神奈川県に本部がある医療グループの責任者の方と話す機会があった。そこで、「このような先生がいるのだが、何とか相談できないか」と交渉をしたところ、「一度検討をしてみるので、プロフィールが欲しい」と言われ、すぐにお送りした。

その医療グループの医療機関の一つが埼玉県にある。実はそこの担当者に以前、プロフィールを送った際に、条件が合わずに断わられたことがあった。そのため、「ダメ元」とも言える交渉だった。

ところが、その2日後に会社に連絡が入り、埼玉の病院で検討するので面接をセッティングしてほしいとのことだった。

私はD先生に連絡をとり、セッティングをした。

「もう、ここしかないですよ」とD先生と病院に面接に向かう道すがら話をし、その病院の特徴や法人の考え方などを伝えた。

面接の場に入ると、院長先生と部長先生の笑顔に安心させられた。

院長先生の全てを受け入れてくれるようなお人柄と、部長先生の趣味なども大事にする人間らしい考え方、お二方が面白おかしく対話されている雰囲気がD先生の緊張や不安に思っている点を吹き飛ばしてくれた。

面接が終わり、帰りの道でD先生に対して意志の確認をしたところ、この病院に行くとのお返事をいただけた。

そこからは勤務内容を詰めていく作業が始まったが、D先生が糖尿病の専門医として目標を持ち、イキイキと勤務されることを想像しながらだったので、とても楽しかった。

D先生が希望されていた勤務条件もほぼ受け入れていただき、糖尿病の勉強目的での入職にも関わらず、週4日で1,300万円以上もの年俸を出していただけることになった。

D先生が入職されてから2カ月が経過した頃、D先生からメールが私宛に届いた。

「内科の先生方が面白い方ばかりで、そこがとても気に入っている。良い病院をご紹介いただき、ありがとうございました」という内容で、楽しく仕事をしていることが伝わってきたし、週に3日の休みもきちんと取れていて、プライベートも充実しているようだ。

D先生から以前の同僚の先生をご紹介いただき、その先生もある医療機関にご紹介することができたのだが、その先生から「D先生はイキイキされていて、すごく明るくなったよ」という話も伺った。

入職までのハードルが高く、問題も山積されていたが、私にとっても忘れることのできない思い出となった。

コンサルタント手記バックナンバーへ

おすすめ求人

  • 矯正医官
  • A CLINIC GINZA