ドクター転職ショートストーリー

結婚 出産 復職(下)

2008年10月01日 コンサルタントY

「子育てをしながら働きたい。精一杯頑張りますし、小さい子どもがいることを本当に理解してくださる施設があればいいのですが・・。」

二つの条件に絞り、病院に打診を始めていった。
勤務内容は、「週4日・当直なし・勤務時間 9時~17時・託児所あり・臨時休暇が取れるように常勤医の数が多いところ」・・。

面接は、産婦人科の副院長が対応された。「当院には、先生と同じように臨床から離れたくないと考えられ、子育てをしながら働いている先生が5名ほどいますよ。A先生も、先生の働ける範囲で仕事をしてください」と、理解のある有り難いお言葉をいただけた。

ただA先生はやはり不安なようで、「急に子どもに熱が出たときなど、どうしても緊急で休暇を頂かないといけない日も出るかもしれません。正直なところ、働きたいという意欲はあるのですが、自信はないのです」と切実に語られた。すると副院長は、「家政婦さんを雇ったらどうですか?家のこともやる。子育てもする。臨床も頑張る。頑張りすぎるとしんどいですからね・・家のことだけでも手伝ってもらい、負担を減らしたらいいんです。事務長に手配させますよ」と仰った。更に、年棒も1000万で、大学病院時代よりもアップとなる高条件で提示され、託児所の使用も許可された。A先生は「何も迷うことはありません。頑張りたいと思います」と、即決された。

3ヶ月後に病院を訪問し、先生にお会いした。
「ようやく新しい生活にも慣れました。同僚の先生方や看護師の方々、本当に子育てをしながらの勤務に理解があるんです。家政婦さんもすごくベテランさんに来ていただけて・・。本当にありがとうございました。」

先生の希望を叶えることができたことの充実感と、あらためて女性医師の職場復帰の難しさを感じた一件であった。
しかしながら女性医師の活躍なしには医師不足が解消されることはない。今後も、コンサルタントとして、女性医師のキャリアアップをサポートし、医療機関にも女性医師が働ける環境整備を働きかけていきたい。
今後のA先生のご活躍を心より祈念するばかりである。

コンサルタント手記バックナンバーへ