ドクター転職ショートストーリー

笑顔の行方(下)

2007年07月01日 コンサルタントK

 A先生が、患者さんとのコミュニケーションや、スタッフとの連携を如何に大事にしてこられたのかをよく知る事が出来た。正直、私が病院に行くならこのような先生がのびのびと働いている病院に行きたいものだ。
 これで、病院へのアピールポイントも決まった。単純な話だ。『こういう先生を採用されると、間違いなく病院の評判も上がり、患者さんも増えますよ。』こういう事である。今でも、A先生目当てに患者さんが押し寄せているのだ。後は、先生の求める環境の整っている病院が、この医師不足の時代にあるのかという部分だけである。

 早速、病院の理念、導入機器の状況、医師の体制、コメディカルの充実度合いを念頭におき、北陸から東海地方にかけて調査していった。
 その結果、A先生にマッチする病院があった。北陸地方では有名な、とある救急病院である。この病院は、『地域密着宣言!』という理念を全面にうちだし、医局にとらわれない医師集め、コメディカルの充実、と細かく見ていくとA先生にピッタリである。

 面接では、地域の患者さんをどう大切にしているか、チーム医療の大切さについて、院長先生が熱弁されていた。A先生もご自身の体験談や考え方、なぜ転職を考えたのかをしっかり話されていた。面接は大成功だった。先生の体験談や考え方を聞いた院長先生は、近頃は患者に真剣に向かい合う医者が少なくなっていたと思っていたらしく「是非、医局を盛り立ててもらいたい」と、事前打合せにはなかった部長職というポジションも条件に加わり、役職手当も100万追加になった。

 その後の病院見学の際、たまたまだが看護師さんの患者さんに対する心遣いも見る事が出来た。帰りに先生から、感謝のお言葉をいただける程の大成功だった。A先生の今お勤めの病院はもちろんこの病院である。

 A先生は、現在私が紹介した病院でのびのびと働いている。年収も400万アップした。
それも、1600万から2000万へのアップで、稀に見る高条件である。では、仕事が以前より忙しくなったかというと、そんなことはない。
今の勤務条件は、週35時間の5日勤務、外来は週3コマ、内視鏡検査、受け持ち病床は5床、当直は月に1~2回、役職は部長、となっている。部長として医局を担う立場であり、責任は増しているが、はっきり申し上げてゆとり勤務だ。外科の先生も充実しており安心して検査できますとのことだった。

 半年後のとある日、A先生から写真付きの手紙が届いた。スタッフの方と撮られたその写真に写っている先生は、初めてお会いしたときのような満面の笑顔であった。ドクターだからとか、忙しいからとかは関係ない。何よりも笑顔が一番である。今後のA先生のご活躍を祈念するばかりである。

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