ドクター転職ショートストーリー

新規診療所立ち上げプロジェクト(下)

2006年11月01日 コンサルタントT

 現在分かっているのは、週4日午前9時から午後5時という勤務体系のみである。これから、この新規診療所がどのような風に吹かれていくかは全く未知数である上に、「院長」としての責任もあり、やはり心配は尽きない、というのが先生の言い分であった。しかし、しばらく考え込んだ後、A先生からようやく次のような言葉を聞くことができた。
『でも…やりがいを感じることができるかもしれませんね。』
そうして私はA先生に面接を受けられるよう勧め、面接を設定する運びとなった。

面接当日。A先生の「患者の心に真摯に向き合っていきたい」という強い思いを理事長先生に買われ、現在の年収よりも400万円高い1,600万円という提示を受けることになった。A先生もB病院の経営理念――「患者様の心に安心という名の花が大きく咲くことを願いながらスタッフ一同力を合わせていく」に大変感銘を受けた様子で、『院長としてやっていくことへの不安よりも、また患者と向き合うことができるという喜びの方が大きいです。』と、理事長先生に話された。

 そして、面談終了後に理事長先生と共に診療所設立予定地を訪れた。A先生は、感慨深くまだビニールカバーが掛けられたその建物を眺めていらっしゃった。
その時、理事長先生がこうおっしゃった。
「A先生、是非御願いします。私達と共に良い診療所を作っていきましょう。」
双方、固い握手を交わされた。
『こちらこそお世話になります。宜しく御願いします。』
面接時は緊張していたA先生の顔にようやく笑顔が見られた。

現在A先生は、各機器メーカーから資料を取り寄せ、新規診療所に導入する機器について思案中である。
『今からとても楽しみです。具体的に話が進んできて、実感がわいてくる度に、開院の日が待ち遠しくなるんですよ。』と、本当に嬉しそうにA先生は話されるので、私まで嬉しさでいっぱいになる。

A先生はいつも私にこうおっしゃる。
『運命って本当にあるのかもしれませんね。』

 私は、12月から順調にA先生が再出発できるよう、心より祈るばかりである。

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