ドクター転職ショートストーリー

還暦を迎えての決断・・(下)

2006年09月15日 コンサルタントA

 その病院は、院長がまだ40代前半とお若く、現在も他のドクターの先陣を切って積極的に外来をこなしており、児童の患者も多く来院するという。
 ソーシャルワーカーが充実しているのが特徴で、コメディカルの多さでは地域のどの病院にも引けを取らない、とは面接時の院長の言葉だ。
 医師が医師として集中して診療に携われるように、また患者が安心して治療に専念できるように、今後も体制を整えていきます。と力強く仰った。
 医療の提供者も、享受する患者側もどちらも大切にしたいという院長のお考えにK先生も大変感銘を受けられた。
 ひとつ、院長からの条件提示も頂いた。現在の外来・入院は8割が精神科であるが、残りの2割は内科疾患の患者である為、こちらもできれば手を貸して頂きたいとのことであった。
 もちろん精神科医としての勤務を妨げるようなことにはならないように充分配慮をさせて頂きます、とのお言葉も添えられた。
 本来はなるべく早期での資格取得を目指したいK先生は、一瞬悩まれたようにも見えたが、すぐに答えを出された。
 「そこに患者さんがいるのであれば、私は医師としてできる限りのことをさせて頂きます。」そのお言葉に院長も感謝の意を表され、頭を下げられた。

 面接後の院内見学でも院長自ら先生を案内され、様々な会話を遣り取りされている先生方のお顔を拝見していると、もう既にお気持ちが固まったように見受けられた。
  応接室に戻り、お互いの意志確認を済ませ、即日の内定となった。K先生からは、「諸条件については、全てリンクスタッフさんにお任せしたい」とのお言葉を頂いた。
  後日、私と先方の事務長とが刷り合わせを行い、週5日勤務で当直無し、精神科での受け持ち患者の容態が安定している時に手を貸す形で内科外来を担当することとした。
年収は先生が常勤内科医として働いていた頃の1000万円から1200万円にあがったということもあり、「想像以上です、本当に有難うございます。」と声に出して喜んで頂けた。

『目標に一歩近づけたという手ごたえと満足感があります。いい病院を紹介して頂けて本当に感謝しています。

後は、早期の指定医取得を目指し日々邁進します。』後日私の手元に届いたK先生からの手紙。
『生涯現役』である医師の方々の意欲や探究心には、驚嘆すると共に尊敬の意を禁じ得ない。私もそうあらねば、と改めて感じる一件であった。

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