ドクター転職ショートストーリー

ヘッドハンティング?(下)

2004年08月01日 コンサルタントS

残念なことに、先生のスキルを維持できるような症例数を持つ病院がないのである。正確には、そのような病院にはドクターが既にいる。設備・スペース・リスク…手術をしない病院の気持ちもわかるが、そうは言っていられない。先生ご自身は、「極端な話、手術のない療養病院であっても…」という覚悟はされていた。しかし、これまでに築いてこられたキャリアやスキルを活かせない職場を紹介することは、コンサルタントとして私自身が許せない。
 そんな中、ある病院が名乗りをあげた。開設から約50年というこの病院、創立者である現理事長が高齢なので、手術は行っていない。そのようなわけで、設備もスペースもほとんど活用されておらず、一次救急の看板を出していても、かかりつけの患者さんの急変時のみ対応しているという現状であった。

 面談の結果、病院にとって、O先生はまさに「文句なしの人物」とのことである。また、先生の入職をきっかけに、外科的な診療や手術も徐々に復活することができると大喜びの様子。O先生にとっては、病院規模や設備、症例での不満足感はあったと思われる。年俸も、当直がないとはいえ、1500万円と変わらない。しかし、院長就任を前提とした副院長での入職ということで、「病院経営」という新たなキャリアを築く場になると感じて頂けたようだ。
 私に関して言えば、「ヘッドハンティング」に近い病院のご希望を、時と場所という偶然の力を借りて実現できたと満足している。

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