ドクタープロフィール
ドクター神津
神津院長は昭和52年に日本大学医学部を卒業後、同大学第一内科に入局され、その後、神経学教室が新設されると同時に同教室へ移られました。医局長、病棟医長、教育医長を長年勤められ、昭和63年、アメリカのハーネマン大学およびルイジアナ州立大学へ留学。帰国後、特定医療法人佐々木病院(内科部長)を経て、平成5年に神津内科クリニックを開業された。神津院長の活動は多岐にわたり、その動向は常に注目されている。
2002年5月号 -禁煙指導と四つのA- backnumberへ
 最近、女性でタバコを吸う人たちが増えていると感じる。日本人が欧米化する一つの形なのかもしれないが、あまり良いことではない。

かぜをひいて来院する患者さん、その中で、「なかなかせきが取れないんです」と訴える人の半分は、タバコを吸う人だ。けがをした傷を引っ掻けば、そのけがはなかなか治らない。それと同じで、炎症が起きた気管支粘膜を、高温の、化学物質満杯の煙が通って刺激を与えていくのだから、せきが出ないほうがおかしい。それを、「くすりが効かない」などと誤解をしてもらっては困る。私は、こうした「かぜひきさん」を相手に、いつもいつも禁煙指導をしている毎日だ。その際には、"世田谷区若手医師の会"の講演会の第一回目に、東京衛生病院の健康教育部長、エドワード・藤本先生に教えていただいたノウハウが、今でも役に立っているhttp://www.iijnet.or.jp/SYPIS/lc.html

藤本先生は、「我々医師が行う禁煙指導の際に、その基本的な姿勢として『tobacco smokingは習慣である。それも、悪い習慣である』という立場に立つことが必要です」と話を始めた。

「禁煙指導をする際に、患者さんを前にした医師は、『四つのA』を基本として指導すると良いと思います。すなわち、
Ask:タバコを吸っていますか? と尋ね、
Advice:タバコを止めたほうが健康に良いですよ、と進言します。そして、
Assist:私がその禁煙のお手伝いをしましょう、と力づけ、
Appointment:次に来院するのはいついつですね、良い結果が出るといいですね、と
次のカウンセリングに繋ぐというわけです」。
そして、さらに続ける。

「こうしたプロセスをとることによって、患者さんを正しい禁煙の方向へ導いていくことがとても大切です。また、一度で止められなかったことを失敗ととらえてはいけません。それは成功するまでのある過程(プロセス)であって、再喫煙があっても再度その患者さんを治療の中に取り込むことが大切です。そうして、リサイクルしながら、最後の到達点である『完全禁煙』へと導いていくのです」。

この言葉どおりに、私がクリニックで指導し、約65%の方が完全禁煙のゴールに到達した。この数字は、以前、事後調査を往復はがきで行った時に得たエビデンスだが、禁煙指導の専門医療機関が出している数字と、そう大して違わない。

この「四つのA」は、禁煙だけではない、医療の場における基本的なskillといえる。
毎日の日常診療の中で、こうした心を持っている医師は、きっとやさしい。

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