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地域の主治医・生涯の主治医として
病院の特色
1. 総合診療科
総合診療科は約50床を持ち、誤嚥性肺炎、尿路感染症、胃腸炎といった感染症を中心に診療しているが、地域の急性期病院であるため、若年の患者さんも少なくなく、発熱、呼吸困難、意識障害、貧血、倦怠感、体動困難、認知障害、神経所見などの入院を受け入れ、総合診療科で診断をつけている。
「内科は専門分化し、各科に分かれていますが、それを繋ぐような総合的な診療を行う科が必要だということで、総合診療科という名称なのです。総合診療科では初期研修医の臨床研修にあたり、力を発揮しています。初期研修医の教育の場ですね。また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大後は各科の医師が交代で診療にあたっていますが、総合診療科の医師はその中心となって皆を引っ張り、マネジメントしています。」
新型コロナウイルス感染症の診療についても伺った。
「外来と病棟とありますが、外来は2020年2月に開設し、現在も継続しています。保健所や開業医の先生方から発熱した患者さんをご紹介いただき、診療とPCR検査をしています。病棟に関しては2020年2月に開始し、3月には専門病棟を置きました。病床数の伸び縮みはありますが、一般病床が15床に加え、重症患者さんを診るためのICU、HCUの陰圧室が4床あります。それ以外に、発熱した患者さんで新型コロナウイルスを否定できない方のための病床を11床用意し、診療を行っています。」
2. 循環器内科
後期研修医を含めた6人体制で診療にあたっている。PCIのほか、若年の拡張型心筋症の患者さんに対して、心筋生検・心筋MRIも実施している。高齢の患者さんにはADLや介護環境を考慮しながら訪問看護や介護サービスとも連携して診療している。
「急性冠症候群、狭心症、心筋梗塞などの治療のほか、慢性的な心不全なども診療しています。心臓カテーテル検査や血管内治療も旺盛に行っています。24時間体制で、救急車での搬送も積極的にお受けしています。」
3. 呼吸器内科
肺がん、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気管支喘息、膠原病肺を含む間質性肺炎、石綿肺などのじん肺、肺炎、結核症、非結核性抗酸菌症、肺真菌症、気胸、胸膜炎、睡眠時無呼吸症候群などの呼吸器疾患を幅広く診療している。
「当院はその成り立ちからしても、社会の中で働いている人々を中心に診てきた病院ですので、古くは結核、現在は喘息や肺気腫といった様々な慢性の呼吸器疾患の患者さんが非常に多く、外来と病棟で診療しています。慢性疾患の患者さんで在宅酸素が必要になる場合でも、法人内に在宅診療機能を兼ね備えていますので、切れ目のない在宅酸素療法も行っています。その患者さんの具合が悪くなれば、当院に入院して治療を受けていただいていますし、病棟と在宅を連携させた治療が特徴ですね。アスベストなどの健康被害で悩まれている患者さんの診療の一方で、少し毛色が違うのが睡眠時無呼吸症候群です。こちらも最近は増えていますので、検査入院ができる体制を整えています。」
4. 消化器内科
内視鏡検査や治療を積極的に行っている。2018年度は上部消化管内視鏡検査が約4000件、下部消化管内視鏡検査が約2100件のほか、食道、胃、大腸へのESD、総胆管結石や閉塞性黄疸へのERCPも数多く実施した。
「消化器内科の特徴の一つはやはり内視鏡です。上部、下部の検査や治療に加え、最近では食道がん、胃がん、大腸がんなどもガイドラインに沿って、内視鏡で切除することが多くなりました。当院では胃がんの患者さんの半分が内視鏡での治療です。喜ばしいことではありますが、私は外科医なので、外科での胃がん手術が少なくなり、困ったなという思いもあります(笑)。」
もう一つの特徴として、膵臓がんの早期診断技術が挙げられる。
「膵臓がんは非常に予後の悪い疾患で、見つかったときに手術をしても再発することも珍しくありません。そこで、消化器内科の医師を他院に研修に出し、膵臓がんの早期診断の技術を導入したのです。具体的には超音波内視鏡やCT検査です。CT自体は以前からある検査ですが、CTの専門医でも見つけられないような、ごく微細な所見を見落とさないトレーニングを行ってきましたので、ここから診断に持っていけます。これにより、膵臓がんが極めて初期に見つかるようになったので、その段階で手術を行うと、かなり良い予後を認めるのではないかと期待しています。」
5. 外科
髙橋院長がリードしてきた診療科であり、地域のニーズを踏まえ、手術から化学療法、緩和医療までを一貫して行っている。
「ガイドラインに沿って、消化器がん、肺がん、乳がん、甲状腺がんの治療を中心に行っています。最近はどの病院でもそうなっていますが、胃がんや大腸がんに関してはいわゆる腹腔鏡下の手術が大勢を占めるようになりました。肺がんについても胸腔鏡下の手術はほとんどになっています。私も外科医ですが、私はあのようなイジイジしたことが好きではないんです(笑)。それで腹腔鏡、胸腔鏡は私より下の医師たちが一生懸命に取り組んでいます。市中の一般病院ですので、術後は外来でフォローさせていただき、もしも再発が起こった場合は化学療法もできるだけ当院で行います。化学療法の効果がなくなって、末期になってきても、地域の医療機関と連携しながら、当院で緩和ケアを行っています。」
6. 産婦人科
立川相互病院の産婦人科はWHO/UNICEFの「赤ちゃんにやさしい病院」に認定されている。
「新しい病院に移転後、駅も近くなったことから、若い女性の患者さんが非常に多く来院されるようになってきました。旧病院では年間450件程度の分娩数でしたが、新病院になり、600件に近いところまで増えました。当院には小児科医もいますので、産婦人科と小児科の医師が連携して安全な分娩に取り組んでいます。当院ではミドルリスクまでの分娩を扱い、ハイリスクの場合は東京都立多摩総合医療センターなどに搬送することもあります。」
一方、婦人科では毎日、外来を開き、子宮や卵巣腫瘍などの手術も行っている。
「腹腔鏡下手術にも積極的に取り組んでいます。2020年には腹腔鏡下手術だけで111件の件数がありました。」
7. 腎臓内科
CKD診療を中心として、電解質異常、自己免疫疾患、血液透析導入、外来血液透析治療、維持透析患者さんの様々な疾患に対する入院診療などを行っている。
「専門医が2人、それ以外のスタッフも3人いますので、充実しています。法人内に透析施設が当院以外に3カ所ありますので、そうしたサテライトクリニックと連携を取りながら切れ目のない医療を行っていることが特徴です。もちろん、透析の患者さんばかりではなく、腎疾患も診ています。」
8. 糖尿病・代謝内科
総合的な視野で診て、専門的な医療を提供している。糖尿病教育入院や血糖コントロールが必要な患者さんには入院後に専門チームによる適切な医療を行う。糖尿病教育入院は約20年の歴史がある。糖尿病性ケトアシドーシスなど、集中治療を必要とする患者さんには立川相互病院の集中治療室で診療している。また、専門チームが立川相互ふれあいクリニックの外来で糖尿病教室を年間10回開催するほか、体操教室も開いている。
「糖尿病治療も当院の看板の一つです。サテライトクリニックには大勢の糖尿病の患者さんを抱えており、クリニックと連携しながら、当院で入院診療を行っています。」
9. 整形外科
整形外科では年間約400件の手術を行い、病棟には常時30人から50人の患者さんが入院している。
「手術内容は一般外傷、骨折、頚椎、腰椎、股関節や膝関節の人工関節置換術、膝の関節鏡視下手術など、整形外科全般に渡っています。地域の開業医の先生からのご紹介が多いですね。術後のリハビリテーションは回復期リハビリテーション病棟で行い、在宅復帰をサポートしています。」
10. 脳神経外科
外来診療、救急診療をともに活発に行っているほか、健診センターでは脳ドックも提供している。
「医師が2人体制になり、脳腫瘍の手術もできますし、救急車や脳卒中への対応が幅広くできるようになりました。脳梗塞が増加していますが、発症から4.5時間以内であれば、t-PA治療も可能です。脳内出血に対しては開頭脳内血腫除去術、くも膜下出血に対しては脳動脈瘤クリッピング術を施行しています。また、成人もやもや病に対しては血行再健術も実施しています。」
11. 泌尿器科
悪性腫瘍や尿路結石症の治療をメインに行っている。尿路結石症には体外衝撃波結石破砕術を用いているが、既に3000件近くの実績を誇っている。
「外部の病院に研修に行っていた医師が戻ってきたため、4人体制になり、腹腔鏡下での手術件数も大幅に増えました。外来は法人内の健生会ふれあい相互病院で担当しています。」
12. 病理診断科
ベテランの指導医2人で診断を行っている。病理専門医を目指す若手医師の指導も可能である。剖検は年間およそ30件を実施している。
「臨床と病理の関連は密接で、何でも相談できるので助かっていますし、勉強になります。月に一度のCPCは400回を超えています。手一杯なので、新しい先生の参加を待ち望んでいます。」