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地域まるごと健康づくり

運営・経営方針

1.運営・経営方針

 井上院長に運営や経営方針について、尋ねた。

 「当院は差額ベッド代をいただいていませんが、病院を維持するだけの収益を上げていければと考えています。厳しい経営環境の中で何とか頑張っていくためには空床を作らず、外来の患者さんを多く診ていくことが大切です。守備範囲内での検査、治療、手術、産婦人科の分娩など、それぞれの医療をしっかり行って、フル回転しながら力をつけていったところで診療の幅を広げたいですね。地域からは脳神経外科や血管外科のニーズが高いですので、必要とされることに取り組んでいきたいです。」

 外来患者数の増加に伴い、紹介率、逆紹介率も上がっている。

 「病院の外来は既に一杯の状況です。当院で症状が落ち着いた患者さんはできるだけ地域の開業医の先生方にお返しするように努めています。」

 東葛病院では人間ドックや検診、健診にも力を入れている。

 「治療だけだと後手に回ってしまいます。人間ドックなどで早期発見に努めたり、健康管理を行うことで、地域の方々の健康づくりに貢献しています。当院はNPHに加盟していますので、日頃の診療活動を通して、地域の方々の健康増進に繋がるよう、さらに頑張っていきます。」
 

2.地域連携

 地域連携の中で特筆すべきは「東葛健康友の会」だ。この会では東葛病院と診療所、地域の方々が全国の方々と協力し、病気の予防、保健や介護、社会保障の向上、平和で安心して住み続けられるまちづくりを目指して活動している。

 「当院がかつて倒産したときも出資者の方々が医療の火を消すなという運動をして、民医連と結びついて病院を復活させたのですから、地域との関係は深いです。流山市内には高齢者医療を行う総合的な病院はありませんので、当院が地域の医療を支えています。当院の医師やコメディカルスタッフも友の会の健康相談会に積極的に参加しています。」

 東葛病院の後期研修医は子ども食堂を主宰している。

 「当院の後期研修医はもともと隅田川の路上生活者の健康相談や柏市での年越し健康相談、イトーヨーカドーなどでの相談会に参加しており、そうした意識が高いのですが、このほど当院の院外保育所を使って、子ども食堂を始めました。友の会の皆さんからも寄付が寄せられています。」
 

3.今後の展開

 今後は後継者育成と地域医療の充実が大きな課題です。後継者育成に関しては医師に限らず、看護師、リハビリテーションのスタッフ、臨床工学技士、事務スタッフも含めて取り組んでいきます。医師については各専門科に医師が揃えば、色々なことにチャレンジできますから、医療機能を上げることができます。特に産婦人科や整形外科を充実させたいですね。
 地域医療では当院は3つの診療所を有していますので、それぞれの守備範囲を拡大させ、在宅医療を担っていきたいです。この地域には高齢者施設が多いのですが、当院は介護分野が弱く、ニーズに追いついていません。寄り合いやサークルを作って、地域の高齢の方々の認知症や孤独死を防ぎ、ADLの向上に繋げていけたらと考えています。今後は私どもの病院や診療所を核にしてもらいながら、友の会の方々とも連携したまちづくりを進めていきたいです。

2019.06.01 掲載 (C)LinkStaff

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