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丹波地域の中核病院として、
世界標準の医療を提供します。

運営・経営方針

1.運営・経営方針

秋田院長に病院の運営や経営方針について、伺った。

 「経営改善にあたっては、絶対に必要な循環器科の24時間体制のほか、救急の専門医と医師全員による救急患者さんの受け入れ、内視鏡検査、低侵襲の腹腔鏡手術、緩和ケア病棟などを充実させていきます。今、緩和ケア病棟は20床で動かしているのですが、この地域にはほとんどありませんでしたので、稼働率は98%となっています。経営改善にはまず稼働率アップと言われますが、ほかの病棟にしても、私が着任したときは70%の稼働率だったのが今は90%を超えていますし、平均在院日数も12日となり、かなり短縮されてきています。収益アップに関しては7:1をいかに確保するかということと経費削減が求められますね。」

新病院の完成イメージ 2019年に完成予定の新病院の特徴についても伺った。

 「病院の理念でもありますが、いわゆる地域医療を行い、地域住民の健康を守ります。急性期で終わることなく、回復期まで行う予定です。新病院には丹波市が作る地域医療総合支援センターを併設し、総合診療外来、検診、訪問診療を行います。丹波市は保健部門と福祉部門も作りますので、医療と福祉、介護といった地域包括ケアの中心的な役割を担う場所になるでしょう。一方で、地域で医師を育てることも大切です。新しい病院では医療人をしっかり育成します。特に学生教育をする中で、『ここで働いてもいいよ』という人材を集めたいですね。大学に頼むだけではもはや無理なことは分かっていますから、当院でいかに育成するかです。しかし、大学との関係が密でないと人事交流がなくなりますので、これまで通り、神戸大学との連携をきちんと保っていきたいと思っています。」
 

2.地域医療・医療連携

秋田院長は神戸大学の地域社会医学・健康科学講座でも教授を務めており、兵庫県立柏原病院に着任後も地域連携をリードしている。

 「最初は狭い部屋で5、6人の職員がぎゅうぎゅう詰めになって仕事をしていたんですが、地域連携は病院のアピールポイントの一つですから、一番広い場所を地域連携室にしました。そこで連携の大切さを訴えていたら、連携先も増えてきたんです。後方連携では退院調整を行い、できるだけ在院日数を短くして、7:1の確保に努めています。平均在院日数は11日から12日ですが、9日だった月もありますし、かなり短縮してきました。2019年3月に柏原赤十字病院が閉院しますが、それまでは2病院での連携を強めるためにも、当院が主に急性期、柏原赤十字病院は回復期といった役割分担が必須ですね。今は当院からの転院先として柏原赤十字病院にお願いしていますし、柏原赤十字病院からの紹介患者さんの数も医療施設では2番目に多くなっています。」

 地域連携として、診療所との連携のみならず、枠を広げて、地域の住民の中に入っていこうという目的のもと、健康講話や柏原病院フェスタを開催している。健康講話では初期研修医が住民の健康維持を目指し、禁煙や高血圧の人のための食事といった講話を行ったり、スタッフが病院でできることやどういうときに受診するべきかなどについての講話を行っているが、毎回30人ほどの住民が集まり、住民との触れ合いの場となっている。

9月30日には「柏原病院フェスタ2017」があり、700人の参加者を集めた。秋田院長の着任以来、今回で4回目の催しだったが、新聞報道もあり、大きなイベントとなっている。

柏原病院フェスタ2017

 「フェスタでは住民に病院を理解していただくために病院を開放して、機械を見てもらったり、子どもたちが医療に興味を持ってもらえるように、手術室で手術を教えたりしています。私がなぜこのフェスタを企画したかというと、住民に病院を知ってほしいという願いがあったのはもちろんですが、皆が一つになって、あることを成し遂げるという実体験をしてほしかったからなんです。半年前から実行委員会のメンバーが集まり、『こういうことをしよう』という話し合いが始まります。この中に看護学校の学生もいます。彼女たちは実習で病棟に来ますが、私たちと話すチャンスは少ないんです。当院で働いてほしいという思いがあっても、顔見知りになって、話しやすい関係にならないと難しいですから、ここでいい関係を作りたいと考えています。病院の総合力は医師や看護師だけが頑張るのではなく、全てのスタッフが同じ方向に向かって頑張っていくことで向上するのではないでしょうか。皆がばらばらにならず、力を合わせて仕事をすることの大切さを学べるシンボリックなものとして、フェスタを開催しています。」
 

3.今後の展開

新病院の完成イメージ 当院の環境は患者さんには抜群なのですが、飲食店なども少なく、働く職員にとってはあまり良くありません。そこで新病院はもう少し賑やかなところに建てます。既に工事も始まっていますよ。
当院に課されたミッションは災害拠点病院だったり、地域がん診療病院だったり、へき地医療拠点病院だったりしますが、基本方針は急性期医療、チーム医療であり、「良質で高度な医療を提供する」ことです。私が一番大事だと思っているのは地域医療です。
かつて医療崩壊した病院であるからこそ、ここに勤務して初めて地域の医療を守ることの大切さを実感しました。地域医療はどこでもやっていると言われますが、私の中では本当にそうだろうかという疑問があります。柏原も決して地域医療を守っているわけではありません。回復してきたものの、まだ十分ではないのです。
新病院に向けて、地域医療をいかに守るかというとき、単に病気を治すだけでなく、病気の予防や健康の増進、いかに日常生活に復帰させるかが大切ですから、健康管理などにも入り込んでいきたいですね。

 2017年8月の数値では丹波市の人口が65000人、隣の篠山市が42000人でしたので、医療圏は11万人です。篠山市には医療機関がありますので、今の当院は丹波市だけの医療を行っているのですが、新病院では丹波と篠山の医療圏をカバーしていきます。
丹波市の高齢化率は32%と、3人に1人が高齢者の状況であり、全国平均は27%を大きく上回っています。したがって、病気の治療やケアにとどまらず、健康維持が大切ですね。篠山市には兵庫医科大学ささやま医療センターがあり、急性期と地域包括ケアの回復期を行っていますが、新病院完成後は回復期に移行していくかもしれません。
一方で、丹波市には急性期の病院も精神科の病院もあります。急性期病床と慢性期病床が過剰で、回復期病床と在宅医療が不足しているのです。この医療圏の問題は急速な高齢化と核家族化です。若い人たちが大阪や神戸に出ており、高齢の方々の核家族化が進んでいるので、医療、保健、介護が連携した、本当の意味での地域医療を行っていくことが必要です。

 新病院を若い医師とコメディカルスタッフが全国から集まるような地域医療のメッカにするのが私の夢です。地方都市病院のone of themにするのではなく、only oneを目指したいと考えています。

2017.12.01 掲載 (C)LinkStaff

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