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「全人医療の実践」
日本バプテスト病院

病院の特色


1.周産期医療

 1995年に京都府で初めてのNICUを開設して以来、日本バプテスト病院は地域の新生児医療を担ってきた。

「当時は新生児搬送などの周産期医療のシステムが京都府全体で遅れていたようです。そこで、当院が先陣を切るような形で始めたという経緯なんですね。どこかに未熟児やリスクのある赤ちゃんが生まれたら、当院の医師が救急車に乗って出向き、新生児をNICUで受け入れるようになりました。今は当たり前の風景ですが、当時の京都では珍しかったんですね。これは今も継続的に行っており、当院が満床の場合は三角搬送といって、受け入れに行ったあとで別の病院に搬送するシステムも作っています。」

 NICUにはベッド9床、人工呼吸器9台、新生児低体温療法、NO吸入療法、そのほかの重症児の診断と治療に必要な機器を完備している。

「9床ありますが、毎月6床から7床は埋まっている状況ですね。分娩は年間360例から400例ぐらいですので、月30例以上をキープしています。母体搬送を含めて、こちらで分娩していただき、必要な場合はNICUに新生児を入院させるという事例も多いです。」



2.ホスピス

 ホスピスも1995年、NICUと同時に京都府で初めての認可を受けた。比叡山の高台に位置しているため、大文字山や京都市内を一望できる環境にある。ホスピスでは積極的な治療が困難ながん患者さんにその人らしく、またご家族とも有意義に過ごしていただくために、身体的、精神的のみならず、そのほかの苦痛を和らげるべく、医師、看護師、薬剤師、理学療法士、栄養士、チャプレン、音楽療法士、ソーシャルワーカー、クラーク、ボランティアスタッフがチームを組んで、ケアにあたっている。患者さんがゆっくり過ごせるように、全室個室となっているほか、患者さん専用のキッチンやご家族の宿泊室も備えている。
 また、ホスピス病棟をはじめとして、外来に通院している患者さん、一般病棟に入院している患者さんの緩和ケアも行っている。

「1995年当時は8床ぐらいでしたが、20床に増床しています。左京区の患者さんだけでなく、色々なところからいらしていますね。以前は日本バプテスト連盟医療団の中に在宅ホスピスクリニックが併設されていましたし、これにリンクした、がんケアの訪問看護ステーションもありました。しかし、在宅ホスピスが分離独立したんです。今は当院のホスピス、地域の在宅ホスピス、当院の一般病棟に介入させたホスピスというトライアングルで行っています。そのため、ニーズがかなり高く、外来の患者さんの中にもホスピス入院を待っていらっしゃる方もいます。病棟でも消化器がんや血液がんの患者さんが増えていますので、この方々が終末期に入れば、当院のホスピスか、在宅ホスピスに移行するという形をとっています。」



3.消化器センター

 日本バプテスト病院の柱の一つであるのが消化器センターだ。2013年に開設され、消化器疾患全般を診ているが、特に内視鏡検査に力を入れている。2015年度は上部消化管内視鏡検査が4,700例、下部消化管内視鏡検査が1,200例と、毎年10%から15%の伸びを見せている。

「以前は消化器内科と消化器外科が独立していたのですが、渾然一体と機能的にリンクさせようということでセンター化しました。2015年度の内視鏡検査数は年間6,000件弱ですから、この規模の病院としてはかなり多い方ではないかと自負しています。」

 内視鏡検査と同時に内視鏡治療にも積極的に取り組み、ERCPで胆石治療、胆管結石、膵管結石、胆管や膵管、食道へのステントも行っている。ESDやEMRの件数も多い。
 外科は腹腔鏡手術がメインである。胃、大腸、虫垂炎、鼠径ヘルニアなどの疾患に対しての手術に対応している。

「センター化して、非常に質の高い診療を行えていますね。肝疾患の常勤専門医もおり、地域のニーズに合わせて、臨機応変に対応しています。腹腔鏡手術はかなり活発ですね。複数の医師が熟達していますので、トラブルなく行えています。当院の外科の木下浩一部長が手術のみならず、化学療法にも造詣が深いので、外来や入院での化学療法にも積極的です。これを続けながら終末期に至ればホスピスに移行するという流れが一連でできあがっていることも特徴ですね。」



4.救急医療

 日本バプテスト病院では「断らない病院」を目指し、救急医療にも力を入れている。最近では1ユニット4床のHCUを2ユニット開設し、重症の患者さんの管理も行っている。

「自分たちの守備範囲の疾患であれば全て受け入れるという方針です。地域に密着し、地域の住民の皆さんの急性期医療をしっかり担保することでの地域貢献を志していきたいのです。とは言うものの、超重症疾患はなかなか難しいですね。脳出血や心筋梗塞には対応できていません。しかし、救急搬送の受け入れは少しずつ増えているところです。」



5.血液内科

 尼川病院長の専門が血液内科だ。血液内科では白血病や悪性リンパ腫などの悪性腫瘍、再生不良性貧血や骨髄異形成症候群、悪性貧血などの貧血症、または出血を起こす疾患などの患者さんを診ている。

「当院の血液内科では移植は行っていません。ただ、無菌室が6部屋で6床ありますので、白血病や悪性リンパ腫などの化学療法で白血球が減り、感染性が強くなった場合の治療などを行っています。」



2016.11.01 掲載 (C)LinkStaff

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