ドクター転職ショートストーリー

茨(いばら)の中にも三年の辛抱(下)

2018年07月01日 コンサルタントT

先生からの電話は、「A病院では仕事ができない。傷口が浅いうちに辞める。」という内容でした。私も急な話でしたので狼狽しましたが、気を取り直して理由をお聞きしました。

病院事務サイドやコメディカルスタッフに対する先生のご不満の電話は約1時間以上続きました。私も、何とか継続勤務していただくように先生を宥めて、先生も鬱屈を開放することができたのか勤務継続を納得していただきました。

翌日、早速この件で、A病院の採用ご担当に電話連絡を入れて、当日お会いすることになりました。A病院のご担当者と理事長先生も同席されたていたので、事に重大さに気がつきました。理事長先生のお話は、X先生はひじょうに気が短い一面をお持ちで、改善をしていただかないと病院側も困るということでした。私はX先生の病院に対するご不満を包み隠さず理事長にお話ししました。こういう場合は双方の言い分を聞いてみないとわからないもので、病院側も一部、非があることを認めておられましたが、X先生が誤解されている部分も多く、再度、3者面談の機会を設けることになりました。

3者面談では、X先生、理事長とも忌憚のないお話をされ、双方納得されました。
理事長先生は、「現在の医療はチーム医療が主になっている。医師は、看護師をはじめとするコメディカルスタッフや事務サイドと協調していかないと仕事をするのが難しい時代だ。とは言え、うちのような田舎の病院では、まだまだ医師の存在は他のスタッフにとっては絶大なことは否めない。医師が何気なく言った言葉や行動が他のスタッフの心を傷つけることもありうる。そのような誤解が今回のような問題を引き起こしたと思う。我々は先生に円滑に仕事ができるように留意するが、X先生も他のスタッフに対する気配りはして欲しい。」と言われました。X先生もその話を聞かれてご自身にも少なからず非があったことを認められ、改善するように努める旨話されました。

その夜、X先生から「どこにいっても人間関係は難しいと思う。色々あるけど、最低3年間は頑張って、自分のスキルアップに繋げたい。」と携帯に連絡が入りました。

我々のような医師紹介斡旋会社が多々、存在する昨今ではございますが、医師を入職させるまでが仕事で、その後の問題は雇用者側である病院と先生のことで紹介会社が関係無いととは言えなくなっている状況です。これからの医師紹介ビジネスにおいては、ある程度のアフターフォローも重要な要素であると痛感した次第でございます。

今回のA病院の理事長先生の寛大なご発言、ならびにX先生の素直なご対応には、感謝の念に堪えません。

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