ドクター転職ショートストーリー

1年越しの転職活動(上)

2016年11月15日 コンサルタントH

A先生との出会いは、私から先生への架電からでした。

入社して間もないころ、ご登録頂いている先生へ近況の伺いの架電をしておりました。
その中でA先生と電話が繋がり、私が新人であることをすぐ察知され、逆に気を使って話題を投げかけて頂きました。
A先生は、弊社が設立して5年目に登録頂いた先生で、今から20年程前にご登録いただいた事になります。その時から非常勤勤務などお力添え頂き、昔のコンサルタントの失敗談で会話を盛り上げて頂けるような優しい先生でした。 そういった先生ですので、ご挨拶も兼ねて、ご面談の機会を頂きたいという申し出も、即快諾頂けました。

面談場所は勤務されている病院で土曜の人気の少ない時間帯でお会いしました。しかし、結果としては、すぐの転職ではなくゆくゆくお願いしますというご挨拶程度でその日は終わりました。
その後も定期的に連絡は入れるようにして関係性は継続するようにしていました。

いつも私から連絡を入れておりましたが、ある日先生より連絡を頂きました。
どうやら現勤務先の経営状況が芳しくなく、先行きが見えないことから、いろいろと求人を紹介して欲しいという内容でした。
この日を契機に、先生との約1年に及ぶ転職活動の幕が上がりました。

A先生は、65歳の内科医。愛知県にお住まいで、愛知県は勿論、関西に至るまでの広域で、療養型病院をご希望されておりました。
但し、先生は持病の糖尿病とそれに伴う脳梗塞を2回患っておられ、歩き方は杖まで必要はないですが、心もとない歩き方、面接に行くと必ず指摘されるのは目に見えておりました。
紹介責任が有る手前、分っている範囲での既往歴等を事前に病院側へ伝えると、案の定、面接までたどり着く医療機関を見つけるのは難航を極めました。

しらみつぶしに当たっていると、大阪の医療法人から和歌山県南部の関連病院で勤務を検討してもらえるのであれば、面接に進めたいと返事を頂きましたので、早速、A先生に連絡を入れ面接設定を致しました。
結果、トライアルから始めることを条件に話が纏まり、勤務初日は私も同行し出勤致しました。
療養型の病院でしたので救急搬送のない病院でしたが、偶然かかりつけ患者の救急搬送依頼が入り、A先生はそれを冷静に対応され、その患者は即入院となりました。
正直、年齢と心もとない歩き方からは想像もできない冷静さと迅速な判断をされたので、理事長も私もそのギャップに大変驚いたことを記憶しております。

その甲斐あって、理事長はA先生の本採用を即決され、その後の入職手続きもスムーズに進みました。

本採用入職まで1ヶ月を切っていたある日、A先生の奥様から暗い声で電話がありました。
「主人が交通事故を起こしてしまいました」という連絡で、自損事故で右足首を骨折するというものでした。実家である北陸の地で起こした事故で近隣の病院では対処できない位の複雑な骨折のため、愛知県の総合病院に転院して手術を受けることになりました。

当然入職日まで復帰できるような状況ではありませんでした。
ことの顛末を病院の理事長に連絡を入れましたが、器が大きいというか理事長は状況を理解して頂き、許しを得て大きな問題にはなりませんでした。
ただ65歳という年齢と重症度合を考えると「採用を延期ではなく取り消しさせてください」と非常に残念ながらに仰られたのが印象的で、実際退院まで4ヶ月と診断されておりましたが、結果、7ケ月かかりましたので理事長の判断は正しかったと思います。

次へ続く

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