ドクター転職ショートストーリー

患者様の為に自分ができること(下)

2014年08月01日 コンサルタントN

先生のご希望を伺った上で実際に提案させていただいた病院は2つ、A病院については療養型病院でありますが近隣に関連の一般病院を持ち、そこからの患者受入れを行っている病院でした。B病院につきましては療養型ではあるものの、精神科の病院であり入院患者の内科的疾患を総合的に診て頂く業務内容の病院でした。

何れの病院についても興味を示され、早速病院の見学と面接を行うべく日程調整をさせて頂き、ご案内をさせて頂きました。

A病院につきましては療養型病院でありながら、関連の病院より病状が落着いた患者様が早い段階で転院されて来る関係で、かなり多忙な病院であり、先生がイメージしていた患者様、ひとり一人ときちんと向き合い治療を行って行くという考え方とは程遠い病院でありました。

面接・見学を終えてご自宅へお帰りになる岐路にて、「やはり医師は病院に雇われた従業員の一人であり、医師が理想の医療を推し進めることは、病院としての利益を考えた場合には必ずしもイコールにならない・・・やはり難しいね」と言われ、大変お疲れの様子でした。

このような先生の姿を拝見して本当に先生に適した病院はやはりB病院であると確信、詳細について早速先生へご説明致しました。

B病院については、今までの病院とは違い精神科の病院であり、その中の認知症治療病床および療養病床の患者様の内科的な診療を行って頂くことのなる病院である旨を説明、今まで精神科の病院での勤務経験はないものの大変興味があるとのことで、病院の見学・面接について至急設定を行いました。

当日は先生のご勤務が終わってから面接にお越しいただくスケジュールを設定、17:30からの面接開始と致しました。面接には理事長先生および院長先生、事務部長様の3名でご対応頂き、終始和やかな面接となりました。

事前に提示させて頂いた先生の希望条件(趣味でスポーツをされており平日の1日と土、日の休みの週4日勤務、年俸は14,000,000円)については全て了解を頂くとともに病院側の正式回答として、その場で先生のご入職に関して快諾を頂きました。

先生が一番懸念されていた患者様対応の部分ですが、病院側の利益だけを追求した患者様やご家族の望まない延命措置等への対応等については理事長自身も反対の考えであり、当院へ入院されている患者様については、穏やかに過ごして頂けるような治療に徹し、どうしても延命等の措置を希望される場合は連携している病院での対処を行い、患者様やご家族にとって最善と思われる方向性を選択しているとのことでした。

先生へお願いする業務について詳しくご説明を受ける中で、先生がお考えになっていた患者様の為の医療が少しでも実現出来るのでは・・・と思われたようでした。

院長先生曰く、一見、精神科病院における内科医の仕事は言い方が適切ではないと思うが比較的ゆったりとした勤務であると言われることが多い。しかしながら、それは考え方次第であり、内科医師として何が出来るのか掘り下げれば本当に様々なことが出来るし、手技や手法だけが医療ではない。先生のお考え一つで本来の医療とは何かを追求することも可能であると言われ、この言葉は先生の心に強く響いていたようでした。

その後、事務部長様より院内をご案内頂き、先生も病院全体の雰囲気を肌で感じ取って頂き、非常に満足頂いた様子で病院を後にしました。

駅まで先生を車でお送りする中で、先生は今まで精神科の病院で勤務することは医師としてスキルを落とすことになると先輩医師から言われたことがあり、本当に医師としての力量を発揮しようとするならば、今回の選択肢は無いと考えていたと話されました。

確かに一般病院のような治療を行う訳ではなく、今まで自分が磨いてきたスキルが維持出来るのか、と言われれば確かに落ちるかもしれない。
しかし、目先の手技や手法だけが医療ではないと気付かされたと言われ、暫く沈黙が続いた後で、先生の力強い返事で今回の病院にお世話になろうと思うとの回答を頂きました。

今回のご案内を通して、我々コンサルタントとしての本当の使命は、単に先生のご希望に応じた先をご案内するだけではなく、先生の現在までのご経歴やご家族背景、又その奥にある転職をしようとお考えになった経緯を含め、先生と面談をさせて頂く中で感じ取り、その中で先生が目指す医療とは何かをきちんと理解した上で最良の先をご案内することが大切であると強く感じました。今後も先生が本当に目指す医療が行える先を確実にご案内できるようコンサルタントとして更に成長して行きたいと思います。

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