ドクター転職ショートストーリー

いい先生であれば・・・(下)

2010年2月1日 コンサルタントC

「もしもし、リンクスタッフのCです。○○病院さんって、MRIありましたっけ?いや、CTでは駄目なんですよ」、「MRIはあるけど、医師は募集していない?そうですか…」、「MRIもないし、医師の募集もしていない…分かりました…」
「CTならありますよ」と言う病院や、MRIはあるが医師募集をしていない病院など、予想通りと言えば、予想通りだが、マッチングする求人がなかなか得られない。
そんな中、何とかMRIがあって、医師の募集をしている病院を1つだけ見つけることができ、詳細の確認のために病院へ向かった。この病院の人事担当者のIさんとは何度かお会いしたことがある。県内でも有数の設備を誇っている病院で、転職希望の先生の情報を伝えると、連日のように確認の電話を入れてくださる方だ。

ところが、今回はどうも様子が違う。いつもなら「是非、紹介して下さい。面接に連れてきて下さい」と繰り返すIさんだが、テンションが低い。聞くところによると、若手の医師を探してはいるが、役職付きでの待遇は空いているポジションがなく、よほどのいい医師でなければ採用は難しいとのことだった。
しかし、私はそれを承知で面接をお願いした。私自身がY先生の人柄に惚れ込んでおり、キャリア的にも人格的にも病院側の言う「いい先生」に該当する自信があったからだ。病院側の回答は「先ず院長との面談を経て、後日に理事長との面談をお願いします」とのことであった。Y先生に面接の日程を伝え、設定を完了する。病院側が熱望しているわけではないことに、若干の不安とY先生の人柄なら大丈夫という2つの気持ちが入り混じったまま、面接日を迎えることとなった。

面接は開始された。予想通り、サラリーマン時代のことは「お恥ずかしい」と謙遜していたY先生だが、仕事や研究に対する院長先生の質問に対して、決して我を強く出すわけではなく、論理的にそして的確に応答している。ユニークな経歴も面接の立会いであることを忘れて聞き入ってしまった。私は今回の面接に大きな手応えを感じた。面接終了後にIさんが話しかけてきた。
「Cさん、いい先生を紹介してくれてありがとうございます。来週にでも理事長との面接を設定します。その前に明日、Y先生にお会いして条件面の提示をします。理事長との面接のときにはまた立会いをお願いしますね。」
やはり面接を設定してよかった。理事長との面接後、双方の意思を確認して入職に至るだろう。そして次の日、Y先生から思いがけない連絡が入った。

「Cさん、お世話になっておりますYです。今、Iさんにお会いしてマンションを見てきました。」
「マンション?」私は耳を疑う思いだった。双方とも好感触であることは確認していたが、マンションまで見に行ったとは驚きだ。その直後にIさんからも連絡が入った。
「Cさん、本当にありがとうございました。いい先生だったので、是非入職をしていただこうと、理事長には急いで確認を取って了承を得ています。何とかCさんからも入職を勧めて下さい。他の病院に紹介したら駄目ですよ」と念を押された。

そこでY先生の意思を改めて確認したところ、Y先生は私から求人情報を提案されるたびに転職の意思が強くなっていったと話された。今の病院には辞表を提出したとのことで、もし、この病院に転職できなければ遠縁の親戚が経営している病院に行くつもりであるとおっしゃった。
「私としてはこの病院に入職したいと思いますので、先方との交渉をよろしくお願いします。」

自信を持って、面接を設定して本当によかったと思う。理事長との面接も問題なく終了し、その後すぐに契約書に捺印、契約に至った。求人探しで苦労したものの、長引く事案になるかと考えていた当初の予想は外れ、順調に入職の運びとなった。当初は病院側の意向とズレがあったかもしれないが、人と人を結びつける仕事である以上、書類上のマッチングだけでは計算できないと感じた一件だった。ちなみに、年俸1800万円、役職は副部長、海外への研修も問題なく、MRIは勤務先からすぐの同法人の病院で使用しているものを使うことで決着した。

今後のY先生のご活躍を心から願うばかりである。

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