ドクター転職ショートストーリー

医療の追求(下)

2009年7月1日 コンサルタントK

H病院は設立30年目の病院で、現在は3人の循環器内科医が在籍している。しかし、心臓血管外科医は不在のため、S先生は病院側にとって願ってもない人材であった。

面接当日、院長先生、副院長先生、事務長が同席され、事務長から「こちらの副院長は院長のご子息で、循環器を専門とされています」と紹介を受けた。
副院長先生はとても若いが、しっかりとして頼りがいのある感じの方だった。S先生との名刺交換の折に、副院長先生は「まさかと思いましたが、A病院のS先生ですよね?いつも助けて頂きまして、本当に有難うございます」と挨拶をされた。

院長先生も事務長もどういうことかさっぱり分からず、驚き、その後の言葉が出なかった。
実は、副院長先生はH病院の心疾患系の患者様をS先生が勤務している病院に紹介していたため、お互い名前だけはよく知っている間柄であった。それに出身大学も一緒で、副院長先生にとって、S先生はとても尊敬できる憧れの先輩だったのだ。

1時間以上かかった面接は、双方とても好意的で、終始穏やかに進んだ。
その後、循環器内科のT先生にご案内頂き、院内の見学を行った。S先生は非常に積極的にT先生に質問をされていた。
見学終了後、T先生から「S先生の熱意を強く感じております。一緒に患者様第一の医療を目指しましょう」と言われ、病院を後にした。

翌日、S先生にH病院の感想を伺うために電話した。S先生より「Kさんから事前に見学のポイントを聞いていたので、とてもH病院のことが良く分かりました。 もし聞いていなければ、医療機器類のメーカー名や院内の設備などのハード面ばかりが気になり、肝心のスタッフの連携が分からないままでした。本当に有難う ございます」との言葉を頂いた。

後日、H病院よりS先生の条件提示の連絡があった。
「基本ベース週4.5日勤務、当直なし、部長職、年俸2,000万」という素晴らしい条件であった。
すぐにS先生に連絡し、H病院からの条件を伝えるために、最初にお会いした面談場所で待ち合わせをした。条件を説明するとS先生は「素晴らしい条件で歓迎 して頂いて、本当に有難い話です。早くH病院のために貢献できるように頑張ります。また、部長職ということで、当直は免除されましたが、術後の当直など、 場合によっては緊急時に対応します」とおっしゃられた。

帰り際、S先生より「Kさん、有難う!!こんな良い縁を結んでくれたのはあなたです。新しい環境で業務に慣れるまで少し不安もあるけど、副院長先生は私の心強い味方でもあるから、気持ちよく仕事ができると思います。本当に有難うございます」という言葉を頂いた。
S先生からの思わぬ感謝の言葉に、私の両目にはいつの間にか涙が・・・。
コンサルタントとしてのやりがいを感じてなのか、今迄の苦労が報われたからなのか分からなかったが、S先生からの感謝の言葉に嬉しい気持ちで一杯であった。

なかなか、先生のご希望にぴったりの医療機関がなく、諦めかけたこともあった。しかし、S先生の「忙しくても、自分がやれることを精一杯やり遂げたい」 の言葉が頭から離れなかった。転職という人生を左右するぐらいの大事なことを私に任せてくれているのだから、必ず希望の医療機関を見つける決意で、ひたす らS先生の案件を探すために電話していた自分の姿が思い浮かんできた。

会社に戻り、すぐS先生に「新天地でご活躍される姿を楽しみにしています!!」と応援のメールを入れた。

数日後、H病院から「念願の心臓外科医で、しかも優秀な方を紹介してもらえて、本当に良かった」との連絡も頂いた。

先日、H病院のホームページを覗くと、「5月からS先生の診療が始まることになります」と掲示板に告知されていた。
それを見て、私は心からS先生のご活躍を願った。

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