ドクター転職ショートストーリー

笑顔(下)

2007年03月01日 コンサルタントY

 両方のクリニックから入職を望まれていたN先生から連絡があったのは、Aクリニック面接後10日、Bクリニック7日後のことだった。「悩んでいますが、Bクリニックに入職する方向で考えています。」N先生の選択は私には多少意外な感があった。実は、知名度もあり診療科目のそろっているAクリニックを選ばれるのではないかと思っていた。紳士的な院長先生の雰囲気とN先生の雰囲気が合っていて、非常に望まれて見込まれて、とても期待されていた。一方、Bクリニックの院長先生は、サッパリ、はっきりした物言いの体育会系。面接中は終始、N先生は院長先生に圧倒されていたのである。
私はN先生に対し「1%でも迷いがあれば、入職を決めない方がいい、再度Bクリニックの院長先生と話をして下さい。」と助言をした。後日、改めて契約とは別に院長先生に時間をいただいた。面談で次のような会話が交わされ「N先生、診察で一番大切なことは何だと思う?」「信頼関係でしょうか。」

 「そうだね。僕が心がけているのは、診察中に患者さんを一度でも一瞬でも笑わせることなんだ。患者さんは、苦しんだり悩んだり困った人でしょ?だから、暗い表情を笑顔にしてあげたいと思ってる。N先生の言うとおり、それは信頼関係だよね。先生ならそれがデキルと思うから、不安もあるかもしれないが一緒にがんばっていかないか!!・・・」N先生も私も、この言葉にグッときてしまったのはいうまでもない。そしてN先生の迷いも完全に吹っ切る事が出来た。最初の面談でBクリニックの院長先生に圧倒されていたN先生は今回の面談では別人のように業務の詳細、疑問点を質問されていた。最終的にN先生の年俸は1,300万円から1,600万円にアップした。別れ際、N先生の笑顔がとても印象に残った。
きょうもN先生はBクリニックの患者さんを笑わせている。N先生との出会いに感謝しつつ、これからのN先生のご活躍にエールを送ります。

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