Dr.中川泰一の医者が知らない医療の話(毎月10日掲載)
中川 泰一 院長

中川 泰一 院長

1988年
関西医科大学卒業
1995年
関西医科大学大学院博士課程修了
1995年
関西医科大学附属病院勤務
2006年
ときわ病院院長就任
2016年
現職
2022年8月号
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COVID-19 第7波

前回PCRの件で愚痴ったから、今回はチョット元に戻ろうかと思ったら、やはりやはりの第7波だ。ワクチン接種者が急激に増えた。まあ4回目の接種対象者が60歳以上か基礎疾患のある人なので、皆さん焦って受けに来る。まるで、第一回目のワクチン接種のときのようだ。

まああの時と違って、ワクチンの数は確保できている。下手したら来月期限切れで何千回分か破棄しなければいけないとこだった。マイナス80℃で保管してるのに本当に数ヶ月で破棄しなければならないのか?現にワクチン足りない時は期限がいきなり3ヶ月延ばされた。この時は細かいとこまで見る患者さん達から、「証明書に記載された期限きれてる。」と指摘され、いちいち説明してた。結構めんどくさい。相手はなんか医療過誤みたいな感じで言ってくるから。外来に説明書いて置いてあるんだけど、そう言うのはものの見事に見逃してる。

そんな訳で、ワクチン有るなら何も2回目から3回目まで6ヶ月も期間空ける必要無かったのに。せめて3ヶ月で打っておけば、第6波も起こらなかったろうに。

で、今は第7波だ。ワクチンだけでなく発熱外来も多い。コロナが急激に流行すると、クリニックの先生方は守りに入って、「発熱のある患者は診ない。」とか「かかりつけの患者さんしか診ない。」所が多くうちに流れて来る。特にウチは昔ながらの夜診察してるから、大阪市の保健所さんから重宝されて「案内させてもらってます。」だって。どうりで妙に遠いところから来る人がいると思ったわ。

で、パンク!PCR検査だって1日1000件超えて、東京から応援来てもらうだけじゃ足りなくて、測定機械増やすしかないんだけど、こんな時にただでさえ引っ張りだこの測定機が、今日頼んで、明日来るなんて無いだろうと思ってたら、ウチのいつもの「出来る総務」が話しつけてきた!

何やら横で聞こえてきた所では、「世のため人の為、患者さんの命を救う為云々カンヌン」だったが、まあお見事!

お陰で何とか乗り越えているが、スタッフは限界。
オマケに、発熱外来もやってるから、ワクチンの予約時間制限してるけど、数は減らない。発熱外来ももっと診てあげたいけど、事務がパンク。

厚労省のハーシスとかのシステムの入力が大変で、毎日3時間ぐらいかかってる。大体こんなのは本来なら保健所の仕事だろが。そもそも、こんな細かい個人情報や、何処どこで誰と接触したとか、細かい症状とか、ワクチンの接種日の情報なんか必要か?どっかの自称専門家が、細かいデータも必要とか言ってるんだろうけど、実際の医療行為より事務作業の方が多過ぎて診療出来ないなんて、本末転倒じゃないですか?

ワクチン接種にしたって、発熱外来にしたって、事務作業が多すぎて敬遠してる医療機関が多いと思う。一般の医療機関、特にクリニックなんかは、役所みたいに人が余ってる訳じゃないんだから。人が足りないからって、高額のバイト簡単に増やせるわけでもないんだから。この膨大な紙作業なんて無駄以外の何物でもないと思う。だから、開業医が対応できず、莫大な費用かけて接種会場作ったりと余計無駄の連鎖しているわけだし。

中国の友人が「その細かい所が日本の良いところじゃないですか。」って言ってるけど、褒められてるより慰められてるように感じる私はひねてます?

(9月号に続く)

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