Dr.中川泰一の医者が知らない医療の話(毎月10日掲載)
中川 泰一 院長

中川 泰一 院長

1988年
関西医科大学卒業
1995年
関西医科大学大学院博士課程修了
1995年
関西医科大学附属病院勤務
2006年
ときわ病院院長就任
2016年
現職
2021年9月号
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ワクチン騒動記Ⅲ

 Covid-19ワクチン沼にハマってる話はわかってもらえたと思う。なんか現場のボヤキみたいになってるけど、本当、このややこしい処理だけは勘弁してほしい。でもウチは色々な訳で順調にワクチンの供給が受けれてるから、希望者が殺到していて「ワクチン無いですか?」と切実な問い合わせが多い。ワクチン不足になってからは特に予約の争奪が激しくなって来て、200人ぐらい予約開始しても1日で埋まってしまう。特別な予約システムなど無しに電話対応だけでこれだ。まだまだ、混乱は続きそう。

 この様に多くの方々来られる様になってくると、その過程でいわゆる「コロナ後後遺症」の患者さんも来られる様になった。

 「ワクチンを打つと後遺症が軽減すると聞きました。」とか言われる方が多い。コロナの後遺症に関しては諸説あるが、大きな原因は免疫異常と思われる。症状としては回復後も極度の疲労感や、頭がボーとする所謂「ブレインフォグ」が多いと言われている。

 ウチの患者さんも、重症の人は「背中に鉛が入っているようで、半年程起きれなかった。」とか「頭がボーとする」などが多い。軽い方で嗅覚や味覚異常を訴える方が多い。頻度の高い順では倦怠感、筋力低下、次に睡眠障害、脱毛、味覚障害、動悸、関節痛となっている。記憶障害、集中力の低下などは「慢性疲労症候群」や「筋痛性脳脊髄炎」「子宮頸がんワクチン後遺症」などで見られる症状だ。以前からこれらは免疫異常だと主張していたんだが、もう一度言っときますね。

 「更に言うと、これらは「リッキーガット症候群」とも似ているのにお気づきだろうか? 「リッキーガット症候群」は以前触れたので詳細は省くが、腸管の上皮細胞の隙間を埋めているタイトジャンクションが薬剤やグルテンなどの影響で緩んで腸壁バリアに隙間ができて、老廃物や微生物成分などが体内に入ってしまい自己抗体などが出来、身体全体に自己免疫疾患がおきている状態だ。

 この為検査しても、画像上は異常無し。血液検査も自己抗体が少し出たり、肝機能が少し上昇しているぐらいで、「慢性的に異常な疲労感で起き上がれない。」などの激しい愁訴とはかけ離れている。この為、良くて漢方薬、酷いと精神科などで抗うつ剤などを投与されたりしている。

 これらの疾患は自己抗体産生のきっかけが異なるがその後の機序は同一ではないだろうか。つまり、治療法も一緒ということだ。

 現に、コロナ後後遺症の方で、広島から来られてる患者さんは、漢方と安定剤の処方のみだった。東京で話題になっているクリニックにも行ったが、血液検査と漢方だけで一向に良くならないとの由。免疫の調整ならこっちの得意分野だから、まずウチの「サプリ」(薬剤の認可とってないからサプリメント。)で様子見ると、数日で疲労感や頭重感などが取れてきた。そこで2週間後に腸内フローラ移植とImmuno Regulating Factor(以前紹介したマクロファージ活性化の薬。これは院内製剤。)の注射でほぼ回復。

 この事から見ても、コロナ後後遺症は100%じゃ無いにしても、やはり免疫異常が絡んでいると思う。

 Immune Regulating Factor(iRF)の薬はもとよりサプリだけでも、この方だけでなく、「なんとなく体調不良」の方々にも結構効果出ていて好評なのだが。サプリだけじゃ儲からない上に、今、賞味期限切れになったのを無料提供してるから全く儲けになってない。やっぱりコロナに関しては功徳積むつもりでやるしか無いな。周りからは「そろそろワクチンから足洗って、本業に専念して下さいね!」と責められてるけど、後遺症の治療なら「本業」でしょ?儲かってないけど。

 まあ冗談抜きで、この手の難病は免疫調整で治せるとしていたのだが、なかなか機会が無かった。今回、少ないながらもコロナ後後遺症に効果があるなら広げてみたいのだが、なんか宣伝上手な方居てませんか?

(10月号に続く)

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