「医師として」メインタイトル
外来中心の働き方が“当たり前”になっていた先生の転職活動とは?
 

第六十六話
一人の医師を沖縄へ導いた転職支援(前)

 一、医師転職支援の複雑な背景
医師のキャリアは、一般企業の転職とはまったく異なる。
専門性、地域性、医療機関の文化、そして何より“医師自身の価値観”が複雑に絡み合う。
私はこれまで数多くの医師のキャリア支援に携わってきたが、今回ほど「医師の人生そのものに寄り添う支援」になったケースは多くない。
ここでは、ある一人の医師が外来中心の働き方から離れ、沖縄の“ハイパー訪問診療クリニック”へ転職するまでの道のりを、コンサルタントとして伴走した私の視点で記録しておきたい。
 二、静かな違和感
相談を受けたのは、先生が勤務するクリニックから「外来をもっと増やしてほしい」という要請があった直後だった。
電話越しの声は落ち着いていたが、言葉の端々に迷いが滲んでいた。
「外来を任されるのはありがたいんです。ただ……本当に自分がやりたい医療なのか、わからなくなってきて。」
医師として信頼されている証であることは先生自身も理解していた。
 三、外来への本音
しかし、その要請が“違和感”を浮き彫りにしたのだという。
外来は効率が求められる。
患者の生活背景に深く踏み込む時間は限られ、診察室の外には常に待ち時間のプレッシャーがある。先生はその環境に疑問を抱き始めていた。
「もっと患者さんの生活に寄り添いたい。病気だけじゃなく、その人の人生に関わる医療がしたい。」
その言葉を聞いた瞬間、私は直感した。この先生は、在宅医療に向いている。
 四、面談で見えた価値観
面談では、先生のキャリア観を丁寧に掘り下げた。
  • 外来での経験は十分積んだ
  • 患者の生活背景を理解したい
  • 家族や介護者も含めた医療に関わりたい
  • 看取りにも向き合いたい
  • チーム医療の中心で動きたい。
 五、在宅医療との親和性
話を聞けば聞くほど、先生の価値観は在宅医療と親和性が高かった。
ただ、先生自身はまだその事実に気づいていなかった。外来中心の働き方が“当たり前”になっていたからだ。 私は一つの提案をした。
 
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