「医師として」メインタイトル
大学時代を過ごしたこの地域に恩返しをしたい、70歳からの転職活動。
 

第六十話
R先生 青春の地で医師人生最後の恩返し(前)

 一、事務長からの冷たい返事
「今年で70歳になるのですが、応募は可能でしょうか?」
R先生からN病院への問い合わせがありました。
担当エリアということもありN病院の事務長から以前からうかがっていた内容は、世代交代を重視する病院の方針は、R先生にとって正直難しいものでした。
案の定、事務長からの返事は、「50歳までの先生でお願いしたいので、今回はお見送りさせていただきます。」っと冷たいものでした。
 二、新幹線通勤も持さない…
先生に、不本意な結果を伝えるのは、いつも胸が痛む仕事でした。
先生のお気持ちを考え言葉を慎重に選びながら、お見送りの理由を伝えました。
その時、R先生の口から、予想もしなかった言葉が飛び出しました。
「私も、医師として働けるのはあと数年かもしれません。だからこそ、医師人生の最後に、大学時代を過ごしたこの地域に恩返しをしたいのです!無理を承知でもう一度交渉して頂けないでしょうか。」
その言葉には、新幹線通勤も持さない地域への深い愛情が込められていました。
R先生の住まいからN病院までは、新幹線を使わなければならない距離でしたが、先生は地域への恩返しを強く望んでおられました。
 三、年齢制限が緩和され一縷の望みが
R先生の熱い想いに心を打たれ、他の病院にも交渉を並行して行い、私は再びN病院の扉を叩きました。一度は断られた相手に無理は承知で、R先生の想いを伝えさせて頂きました。
「実は、法人内で人事異動があり、急遽ドクターが必要になりました。」
事務長の言葉に、一縷の望みが見えました。状況は変わり、年齢制限も緩和されました。
しかし、事務長の懸念は根強かったです。
 四、粘り強く交渉し面接の場を設定
「高齢の先生が、遠方から通勤するのは現実的ではない。何か問題がある先生なのではないか?すぐに辞めてしまうのではないか?」
事務長の言葉は、厳しい現実を突きつけていました。
しかし、私は粘り強く交渉を重ね、「1度お会いしてみましょう」っと面接の場を設定することが出来ました。
 
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