元々、スティルは人体の自然治癒力を阻害している原因は骨にあるとしていたが、後に筋肉やリンパ、内臓、神経、血管等の異常を治せば自然治癒力が高まると提唱した。当初は西洋医学からは受け入れられなかったが、多くの人に支持され、1892年にアメリカン・スクール・オブ・オステオパシー(現在のA. T. Still University) がミズーリ州にprivate medical schoolとして設立され、1910年に医学認可を受けた。
現在 ATSU (A. T. Still University)には、年間平均して35か国から3,100人以上の学生が在籍している。2018-19年度は、35か国から合計3,717人の学生がATSUに在籍し、そのうちの57%は女性、43%が男性だった。また56%が白人、14%がアジア人、9%がヒスパニック/ラテン系、7%が黒人またはアフリカ系アメリカ人、1%がネイティブアメリカン、もう1%がネイティブハワイアン、また5%は2つ以上の人種であり、残りの学生はそれ以外の民族(6%)であった。
アメリカでは、D.O.(Doctor of Osteopathy)は第一職業学位(First professional degree)であり、西洋医学医師(M.D.)と同様に、正規の医師と位置付けられている。D.O.はすべての州で「医師免許」を認可されており、西洋医学医師(M.D.)と全く同等に「診断・外科手術・処方・投薬」等の全ての「医行為」が認められている。オステオパシー医学を学ぶ医学校も、西洋医学医師(M.D.)を輩出する医学校と同様に、大学院レベルに設置されており、通常は4年制である。
現在では専門の手技療法を医学教育の最終段階で多少学ぶ程度であり、手技療法だけで治療しているD.O.は少数派である。また、D.O.は臨床研修(レジデンシー)を経た後は、類似する分野である整形外科医のみならず、救急救命医・一般内科医等の専門を選ぶ事もできる。アメリカ軍の軍医の中にはD.O.の医師も多数存在しているが、D.O.の存在は一般アメリカ人にとってあまり知られていないもののようだ。アメリカ以外の国(イギリスやオーストラリアなど)では、D.O.ではなく、オステオパシーの学士号(Bachelor of Osteopathy, B.Ost)や修士号(Master in Osteopathy, M.Ost)を習得できる。
2012年のMissouri MedicineにBetty M Drees, Kenan Omurtagが書いた論文には、「医師不足と教育費用の現実は、主に医学生が負担するが、臨床収入によって補助されているため、医師の教育と訓練期間の再検討を求める声が高まっている」とある。この100年あまり、米国では医学教育にかかる経済的負担と質の確保というこのジレンマに悩まされてきた。第二次世界大戦中(1940年代)に、戦争の為に必要な医師を早く養成することを政府が計画し、AAMC(米国医学教育協会)とFSMB(州医師会連合)の了承のもと、夏休みを削ることで4年のプログラムを3年にしてAccelerated programを採用することとなったが、「指導過程を凝縮、縮小または簡略化」することが禁じられたため、戦争が終わった後には全ての医科大学のプログラムは元に戻った。
1960年代に入ると、医師不足の解消を主な目的としてではなく、優秀な高校生にAccelerated programを提供することで、学生の教育費を削減し、人文科学や技術教育を強化することを目的として、最初はNorthwestern University, Boston University, Jefferson Medical College-Penn State University, and Albany Medical Collegeの4つの大学内に設けられた。しかし、その後1970年代にプライマリ・ケア医の不足が予測されるようになったためこのプログラムが強化され、連邦政府はこのプログラムを卒業した学生一人につき2000ドルの資金提供を行うことを決めた。これが呼び水になって、1973年までに既存の医学部の4分の1以上にこの3年制医学教育プログラムが採用されることとなった。どの調査でも、4年制と3年制医学教育を受けた学生の成績は変わらず、学生への受け入れも良好だったが、教員には不評で、1970年代後半にはプログラムの大部分が廃止されたという。また、GEMENAC(Graduate Medical Education National Advisory Committee=全米卒後医学教育諮問委員会)が1981年に医師の供給過剰を予測した報告を出したため、37校まで増えたAccelerated programは20年間その扉を閉じてしまった。
Three-year medical school programs in the United States:https://x.gd/zrNp2.
Betty M Drees, Kenan Omurtag : Accelerated Medical Education: Past, Present and Future, Missouri Medicine 2012 Sep-Oct;109(5):352–356. https://x.gd/5loJ8.
Anayat Durrani “A Guide to Accelerated, 3-Year Medical School Programs”:https://x.gd/pWYwt.