神津 仁 院長

神津 仁 院長
1999年 世田谷区医師会副会長就任
2000年 世田谷区医師会内科医会会長就任
2003年 日本臨床内科医会理事就任
2004年 日本医師会代議員就任
2006年 NPO法人全国在宅医療推進協会理事長就任
2009年 昭和大学客員教授就任


1950年 長野県生まれ、幼少より世田谷区在住。
1977年 日本大学医学部卒(学生時代はヨット部主将、
      運動部主将会議議長、学生会会長)
      第一内科入局後、1980年神経学教室へ。
      医局長・病棟医長・教育医長を長年勤める。
1988年 米国留学(ハーネマン大学:フェロー、ルイジアナ州立大学:インストラクター)
1991年 特定医療法人 佐々木病院内科部長就任。
1993年 神津内科クリニック開業。

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「新しいメディアUSTREAM~医療・医学情報の新しい動画配信システム~」

 「最近Twitterを始めた」と、4月号でお知らせしたが、今度はUSTREAMという動画配信機能を持つサイトからの「医療情報発信」について探り始めた。

 USTREAMはサイトとして「http://www.ustream.tv/」にアクセスすると、上のようなホームページが立ち上がる。この右上の「Broadcast Now」をクリックすると、
 このような英語の説明書きが出てくる。簡単にいえば、USTREAMのアカウントをつくり、ハンディカムをコンピュータに繋げば、すぐにインターネット上で中継が出来ますよ、というのだ。全ての画像データはUSTREAMのサーバーに直接入り、自分のコンピュータに負荷がかかることはない。撮影した画像をサーバーに残すかどうかは自分が決める。たとえサーバーに残しても、後で操作画面から削除することが可能なので、気軽に画像をアップしてよい。
 この画面で「Broadcast Now」を選択すると、カメラとマイクへのアクセスの許可を聞いてくるので、「許可」をクリックして「START BROADCAST」をクリックすると、すぐにUSTREAMのサーバーから世界中に自分の撮った画像が配信される。

 とはいっても、USTREAMのサーバーの自分のアカウントに誰かがアクセスしないと見られないから、何万人が見る、というわけにはいかない。自分がライブ中継をする日時をアナウンスして、誰かがそこにアクセスすることで、画像伝達が完結する。なので、最初は身近な人達とこのライブを共有するということになる。

 この画面で「「START RECORD」」を選択すると、サーバーに撮影した画像が録画される。これをサーバーに記録するためにuploadすると、自分のアカウントに画像が保存されるので、それを表に出して万人にアクセス可能とするか、友人だけに公開するか、自分の記録だけにとどめておくか決めることが出来る。あまり外に出せない、あるいは出す価値のないものであれば削除することが、自分の管理画面から可能だ。


 私も、いろいろな記録方法を試してみた。USTREAMのオリエンテーションのように、簡単に自分のハンディカムから中継が出来るかと思ったが、私の使っているMacのPCからは最近のデジタルビデオカメラからは繋がらないということが分かった。Skypeで使うようなWebカメラなら大丈夫だということで、わざわざ買って来た。

 これをPCに付けて中継をすることを最初に試してみたが、結構うまくいった。医療系MLの仲間にアナウンスすると、皆さんが「綺麗にとれている」といって下さったので、次は目的の「研究会のライブ」をやってみることにした。実は、6月6日に全国在宅医療推進協会で市民公開講座があるのだが、この時のシンポジウムを全国にインターネットで同時中継したい、というのが今回のUSTREAMを勉強しようと考えたきっかけだった。そのためにいろいろとインターネットで情報収集してみると、

 上のようなサイトを紹介してくれたML仲間がいて、そうか、iPhoneでもこのUSTREAMが使えるのだと分かった(http://monkeyish2010.wordpress.com/)。

 それからは、iPhoneでの中継をするためにいろいろなツールを買い求めた。三脚に望遠レンズが付いているセットもあって、これはいいとネットで買い求めたのだが、実はUSTREAMの画面は「縦画面のみ固定」となっていて、iPhone画面では縦にしても横にしても画面は正しく見えるのだが、いざサーバーに送信されると、横向きの位置で撮影したものが、縦の位置で配信されてしまうということが分かった。


 望遠レンズを使ってもそうなる。では立て位置で三脚を使えば良いのだが、このiPhone用の三脚は横位置用になっていて、縦にするとバランスが崩れて倒れてしまうのだ。なかなかうまくいかないものだ。こんなフレキシブルアームもあるようなので、いろいろと試してみたいと思っている。

 下の画像は、4月22日の研究会「世田谷区・大橋病院循環器連携の会」でLive中継をしたもの。三脚固定はとてもうまくいったのだが、残念ながら縦横の位置が…。
http://www.ustream.tv/recorded/6356787

 このエッセーを読んでいる読者は若い先生方が殆どだと聞いている。関西の方では、iPhoneを研修医教育のツールとして積極的に利用していると、これもUSTREAMで知った。今後は、こうしたスマートフォンを使ったライブ中継が、日本のあちこちで行われることと思う。多くの医療・医学のコンテンツがUSTREAM内に蓄積されれば、最新の医療・医学情報を手軽に映像データベースとして利用可能となることだろう。地域に密着して、なかなか新しい知識を取り入れる機会に恵まれない医師にとっては大変な福音となるに違いない。
 私がアメリカで働いていたのは1988年だが、その時にすでにHahnemann大学にはResource centerというところがあって、スライドからビデオ、ポスター、模型制作からコンピュータによる統計処理まで、学会発表や講演、授業などのために必要な資料制作をサポートする専門部署があった。そこへ持って行けば、自分のやりたい、つくりたい形に、無理を多少いってもSEやイラストレーター達が粋な形にcreateしてくれた。Pennsylvania Universityの図書館では、視聴覚室があって、有名な神経内科医が神経学的な診察法をデモンストレーションしているビデオを、飽きるまで見ることが出来た。研究が進まない時には、いつも図書館に行ってこうしたビデオを見たり論文を読んだりしていた。日本に帰ってくると、こうした専門家がどこにもいないので、自分で何でもしないといけなかった。Universityと名乗りながらも、そうした機能が低劣だと、いつも思っていたが、それが今でも続いているのだから、日本の医学教育、研究発表の質が悪いのはどうしようもないのだろう。
 欧米では、こうしたデータベーヘスが相当積み重ねられている。講演会などに行っても、その場限りで、復習しないと頭に残らない。それを補うのが、画像データベースだ。On Demandで、いつでもどこでもコンピュータからインターネットを通じてデータサーバーから取り出して見直し、学ぶことが出来る。それによって常に自分の知識をrefreshして、最新の医療・医学のレベルを維持することが出来る。それが2010年の今、当たり前なのが世界のスタンダードなのだ。日本は島国だからと、知的世界のガラパゴスでいいとは誰も思わないだろう。しかし、そうなりつつあることに、我々は気付かないでいるのではないか、と心配だ。是非、この壁を打ち破るためのツールを我々の手に持つべきと思う。USTREAMは、そのツールとして十分なポテンシャルを持っていると私は思う。
 この5月号が配信される時には、もう少しiPhoneでのLive中継や録画中継がうまく出来るようになっていると思うので、是非皆さんに見に来て頂きたいと思っている。
 私のアカウントは「hitoshikozu」なので、USTREAMのホームページの「SEARCH」という右上の四角のブランクに書き入れて見に来て頂ければと思う。そして、この5月号の内容に触発された先生がいたら、是非各地で同じような動画配信のコンテンツを作ってリンクスタッフ(連絡先:genkou@linkstaff.co.jp)の方に教えて頂ければ、それをまとめてリンクするページをつくりたいと思う。

 以下は、今まで配信したコンテンツ。

http://www.ustream.tv/recorded/6218728


http://www.ustream.tv/recorded/6337790


http://www.ustream.tv/recorded/6337864


http://www.ustream.tv/recorded/6356787

2010.05.01.掲載 (C)LinkStaff

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