専攻医の新たな挑戦
お問い合わせのきっかけとA先生の人物像
2018年秋、初期研修医が専攻先への一次応募を開始する季節に、A先生よりお問い合わせをいただきました。先生のプロフィールを拝読すると卒後3年目。その若さに少々驚きましたが、将来のキャリアパスについて悩んでおられるとお察しし、すぐさま状況などを伺いました。A先生は初期研修を修了後、外科専攻医として研修に励んでおられる状況で、お人柄も誠実かつ真面目で、好青年な印象の先生でした。
家業のクリニックと向き合い、転科を決意するまで
研修中の今、なぜ転職という道を検討されているのか…。勤務をしながら、その後進むサブスペシャリティ領域××外科に対して、本当に自分が進む道なのか?と日々葛藤されていました。というのもA先生のご実家は、整形外科のクリニックを営んでおられ、ゆくゆくクリニックを継がれる予定とのこと。その時に××外科医としてどう展開していくのか?という問題に直面されたのです。初期研修中にも、「××外科」あるいは「整形外科」のどちらに進むか悩まれていたようです。外科を志望し研修を始めたものの、何が自分にとって一番必要なのか、将来どのような医師になりたいのか、という大きなビジョンと現実とを向き合う中で、かねてより悩んでおられた、整形外科への道に進みたいという希望が確信へと変わり、転科を決意されたという事です。
新専門医制度という高い壁
一番の希望は、「多くの症例を実践的に積ませて頂ける市中病院、そして医局への入局が無いところ。」しかし、後者の大きな課題が一つ。‘専門医(新専門医制度)’をどうするのか。A先生は2018年から開始された新専門医制度の第一期生で、転科をするにも転職するにも前例が無く、同時に旧制度と違った厳しい制限も課せられていました。基幹病院について、旧制度は大学医局への入局無く病院単体で研修医の受け入れが出来ていたのですが、新制度になってからは、ほぼ全ての基幹病院は入局が必要条件となります。また、転科については、外科研修の症例を整形外科に持ち越し症例カウントできるのか。いわゆる¨カリキュラム制を認められるか¨について、専門医機構のHPでは、¨出産・留学・介護など正当な理由がある場合は認められる¨と記されています。専門医機構に確認を取ったところ、明確な解答まで時間がかかる様子でしたが、再度、専門医機構に登録して一からプログラム式の研修を研鑽する事が濃厚のようでした。私だったらどうするのか…。自身に置き換えて、先生に2施設の提案を致しました。
2つの提案先、そして惹かれた病院の教育方針
1つ目は、大病院規模の総合病院。人工関節においてトップクラスの症例数を誇る施設で、大学医局への入局が無い希少な医療機関。2つ目は、整形外科単科病院。特にスポーツ整形においては功績のある施設ですが、新専門医制度では医局への入局が必要な医療機関。A先生は、スポーツ整形を目指したい(整形外科医を志すきっかけがスポーツだった)ことや、症例数が豊富で手厚いサポートの上、実践的に手技を積める環境・指導体制である後者の病院に大変興味を抱かれました。しかし、専門医を取得するには入局が必須。専門医について悩みながらも、医療機関の「専門医取得の有無に関わらず、5年間で一人前のプロフェッショナルに育てる」という教育面への自信や、A先生のキャリアパスも気にかけて頂ける人情的な部分に惹かれて、面接・見学に伺う運びとなりました。
面接で見えた第3の選択肢、そしてこれからのサポート
面接当日、先生は緊張されていましたが、理事長(院長)・副院長・事務長と話す中で、理事長の寛大なお人柄から、先生も身を任せて本音で話されており、その様子に私自身も安堵したことを記憶しております。そして論点であった「転科」「専門医」については、着地が「開業」である為、A先生は専門医取得というスペシャリストではなく、整形外科医・総合医というジェネラリストになる方向性を目指すことを決意されました。つまり、専門医を取得しない為、医局への入局は必要なく、病院独自の研修プログラムで研鑽するという第3の選択肢に至りました。今後については、整形外科の基礎をしっかりと研鑽し、その後スポーツ医の取得、ゆくゆくは内科方面も検討していき、幅広く診察できる開業医になりたいという意向が固まりました。面接を終え先生からは「これまでの悩みが全てふっきれました!」と晴れ晴れした表情とともに、決意たるものをお見受けしました。A先生にとって初めての転職。その選択によって先生の医師人生が大きく変わるといっても過言ではありません。その選択は先生にとって本当にベストなのか常に検証し、またご紹介する理事長の考え・人柄、病院の雰囲気が先生と合っているのかなど、先生の立場に立ち提案させて頂いております。今回、A先生の人生の岐路に携わる事ができ、大変感謝しております。A先生が活躍される姿を楽しみに、引き続き全力でサポートさせて頂く所存です。