週4勤務で年収2,300万は可能なのか?精神科医が地方で見つけた「理想の働き方」

2026年1月7日 精神科医

「地域×科目」の相関関係を逆手に取る。2026年、ベテラン指定医としての私の決断

「地域×科目」の相関関係を逆手に取る。2026年、ベテラン指定医としての私の決断
2024年の医師の働き方改革から数年が経過し、現場の状況も大きく変わりました。私の周囲でも「QOL(生活の質)を重視して勤務日数を減らす」か「現状の年収を維持するために身を削るか」の二択を迫られている同僚が少なくありません。私自身、長年地方都市の基幹病院で精神保健指定医として勤務してきましたが、現職の条件は週6日勤務で年収2,400万円。日曜以外はほぼ病院に詰め、当直も毎週という生活を続けてきました。しかし、50代を迎え、体力的な限界と家族との時間を天秤にかけた時、出した答えは「週4日勤務への移行」でした。通常、勤務日数を3分の1減らせば、年収もそれに比例して1,600万円程度まで下がるのがこの業界の常識です。「年収を維持しつつ、休みを倍増させる」——。一見、無理難題とも思えるこの挑戦を支えたのは、精神科医という自分の市場価値と、ある「場所」への視点の転換でした。

都心部の限界。「週4日」の壁に直面したリサーチ期間

都心部の限界。「週4日」の壁に直面したリサーチ期間
転職を決意してまず調べたのは、住み慣れた自宅周辺の市内中心部です。2026年現在、都市部の精神科求人は飽和状態とは言わないまでも、条件面では非常にシビアです。いくつかのエージェントを通じて打診した結果は、私の期待を大きく裏切るものでした。「先生、市内の病院だと週4日なら1,600万円から、良くても1,800万円が限界です。そもそも指定医であっても週5日勤務が必須という先が大半ですね」これが現実でした。都心部には医師が集まりやすいため、病院側が無理に好条件を提示する必要がないのです。QOLを取るなら、年収800万円ダウンは致し方ない。そう諦めかけた時、コンサルタントから「通勤範囲を1時間まで広げて、新幹線利用を検討しませんか?」という提案を受けました。この一言が、後の驚くべき逆転劇の幕開けとなりました。

「新幹線通勤」がもたらした、郊外病院とのマッチング

「新幹線通勤」がもたらした、郊外病院とのマッチング
提案されたのは、街の中心部から少し離れた地方にある××病院でした。私にとってそこは、名前こそ知っているものの、日々の通勤圏内としては全く意識していなかったエリアです。しかし、詳細を聞いて驚きました。その地域は指定医の確保に非常に苦労しており、多少の融通を利かせてでも、経験豊富な医師を招致したいという切実なニーズがあったのです。2026年の現在でも、地方における医師不足は解消されるどころか、働き方改革による時間外労働の制限で、かえって「一人の医師の重み」が増しています。「新幹線で1時間。車内は読書や仮眠に使える。その1時間を投資することで、週4日勤務の道が開けるなら……」 私は迷わず、面接という名の「交渉」に臨むことを決めました。

面接で得た破格の提示。始業時間30分の緩和と2,300万円

面接で得た破格の提示。始業時間30分の緩和と2,300万円
面接は非常に和やかな雰囲気で行われましたが、最大の問題は「通勤時間」でした。新幹線のダイヤを計算すると、どうしても病院の規定の始業時間に間に合いません。普通ならここで話が立ち消えになるところですが、病院側の対応は異例のものでした。「先生のようなベテランの指定医に来ていただけるなら、当院の運用を調整します。始業時間を30分遅らせて設定しましょう。その代わり、現場の若手の指導も含め、ぜひ当院を支えていただきたい」そして提示された最終的な条件は、「週4日勤務、年収2,300万円」というものでした。 週休1日から週休3日へ。当直も毎週から隔週へと大幅に軽減。それでいて、年収の減少はわずか100万円に抑えられたのです。これは実質的な時給換算で言えば、現職を遥かに凌駕する好条件でした。

2026年のキャリア戦略。通勤距離の拡大こそが最大のレバレッジ

2026年のキャリア戦略。通勤距離の拡大こそが最大のレバレッジ
今回の転職を通じて痛感したのは、医師としてのキャリアを最適化するためには「場所を動かす」ことが最も強力なレバレッジになるという事実です。市内の中心部でどれほど交渉を重ねても、既存の給与体系や医師の供給バランスがある以上、ここまでの好条件はまず出ません。しかし、少し視点を外に、具体的には新幹線で1時間圏内まで広げるだけで、求人内容の質は劇的に変化します。週休3日を確保したことで、私は念願だった自身の研究に充てる時間と、週末に家族とゆっくり過ごす生活を手に入れました。移動時間は増えましたが、入り時間を融通してもらったおかげでストレスはありません。好条件を求めるなら、まずは「通勤距離」という固定観念を外してみること。これが、2026年という時代に医師が自分らしい働き方を勝ち取るための、最も現実的で効果的な戦略だと言えるでしょう。