ドクター転職ショートストーリー

製薬会社へ転職(上)

2011年9月15日 コンサルタントS

「これから、O先生と呼ばれなくなりますがご抵抗は無いですか?」製薬会社の面接でO先生が、面接官に言われた言葉だった。この言葉が今回のお仕事紹介で、私が一番印象に残った言葉であり、O先生がこの言葉を受け止められたから、今回の転職は無事成功したと思う。

私が製薬会社に医師の求人があることを知ったのは、当社サイトにエントリーされてきた先生の履歴書を拝見したときだった。製薬会社が医師を必要としている状況は、外資系ではかなり浸透しており、求人を開拓するのに時間はかからなかった。しかし企業が希望する条件として臨床経験に加え、英語が堪能であることと、年齢が40歳代前半という条件が一般的であった。臨床医ならばまだまだ若い40歳代前半という年齢が、企業では長期キャリア形成の観点からエントリーできるか否かの基準になるのである。
私は、40歳代前半は臨床でまだまだ活躍される時期であり、臨床から離れ製薬会社という新たな環境へ転職を検討される先生がいらっしゃるか不安に感じていた。しかし私の不安とは別に、外資系製薬会社からの医師を探して欲しいという依頼は日に日に増していった。

ある日メディカルドクターという仕事に興味があるとお問い合わせが入った。O先生だった。
O先生は外科医でご年齢が40歳代後半の方だった。製薬会社への転職に興味があると連絡を頂き、早速お会いする事になった。何故製薬会社への転職なのかをお伺いすると、「臨床ではやれることはやった。次はがん治療の経験を活かし新たなステージに進みたい」とのことだった。しかし、具体的にどのような業務を行うのか、臨床から離れていくことや定年制度についてなど不安な点が多々あり、お一人で悩まれていたとの事だった。O先生は留学や海外勤務のご経験はなかったものの、海外での学会発表実績も多くあり、語学も堪能で、メディカルドクターとしてご活躍頂けると実感した。私は製薬会社での医師の役割、そして製薬会社(企業)に転職をするという事について細かくご説明させて頂いた。先生のご専門であるオンコロジ―領域で存分に力を発揮頂ける事や、国内に留まらず世界を舞台にご活躍頂ける環境であることなど、これからの新しい可能性をお話した。O先生はメディカルドクターへの転身を決心された。

その日から私は、現在依頼を頂いている外資系製薬会社へアプローチを始めた。しかし冒頭に話したキャリア構成から、話を進める事ができない会社が続いた。先生は関西地区を希望されている為、依頼されている製薬会社だけでは話を進める事ができず私は行き詰ってしまった。
1週間が経過し、O先生から連絡が入り「Sさん、企業は採用基準も厳しいでしょうからダメならはっきりと教えてくださいね。メディカルドクターに転職が難しいなら、私も次を考えますので」と先生は少し肩を落とされ、メディカルドクターへの転職を断念することも考え始めておられた。

次へ続く

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